第68話

「じゃあ、この子たちは、池に返してきてね。お二人さん」

さくらは、秋吉さんと久子さんに、頼む。


さくらは、行かないのか?


久子さんは、僕をみてウインクをして、指を立てた。


「がんばれよ」ということか・・・


「なあ、さくら」

「何?」

「どうして、水生昆虫にこだわるの?」

「難しいでょ?」

「ああ」

「命の大切さが、わかるかなって・・・」


いえ、もうわかってます。


「そういや、さくら」

「何?」

「僕は、ここへ来て、何日目だっけ?」

「数えてみて」

「教えてくれないの?」

「うん」

「おケチ」


睨まれる。

女は怖い。


「その前に、訊きたいんだけど・・・」

「何?」

「泰道くんの苗字は、会田が正しいの?相田が正しいのの?」

「会田だよ。時々相田に間違えてしまうけどね」

「自分の名前なのに?」

「よく言われる」


まず初日は、ここに来て、さくらがパートナーになる。

三毛猫のオスのポチ、フクロウの竜と出会う。


その時は、ネコの爪とぎ器があったが、ここのところ見かけない。

なぜだ?


そして、お風呂に入り、カワウソのカーくんに会う。

ゆきおに、改名したのだが・・・


それから、裏山の木の、野生のリスに会う。

奈良公園の鹿みたいなものらしい。


さくらの、お手製のレトルトカレーを食べて、コモドドラゴンのひとくんに会う。


千夏さんに会ったのも、この日か・・・


一日目で、これだけあったのか?

気付かなかったのか、初日には見えなかった事が、見えている気がする。


何もないという印象だったが、次から次へと出てくる。


そういや、タメ口禁止だったが、守れてないな・・・


他にもあった気がするが、思い出せない・・・

ここは、異次元だったりして・・・

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