第67話

「どうしたの?泰道くん、大丈夫?」

さくらは、心配そうに見つめてくる。


「時にさくらさん」

「何?」

「このトルくんは、どこでスカウトしてきたのですか?」


さくらは、当然のように答えた。


「先日、君がさおりと初めてあったお花畑あったでしょ?」

「はい」

「あの近くに池があって・・・」

「はい」

「そこで・・・」


タガメさん、まだ野生がいたのですか・・・


「この辺りには、うようよいるよ」

それはそれで、怖い。


タガメか・・・

売れば・・・


「泰道くん、まさかとは思うけど、売ってお小遣い稼ぎをしようなんて・・・」

「思っていません」

「よろしい」

ああ、怖かった・・・


「で、食事はどうするの?」

「食事?」

「タガメが肉食なのを、知らないわけではあるまい」

「知ってるけど・・・」


それに、たくさん食べる。


「確保できる?さくら」

「やっぱ、タガメは難しいかな」

「飼ったことないの?」

「うん」


無知は怖い。

でも、知ったつもりは、もっと怖い。


「じぁあ、他の子も見て」

「他の子?」

「入ってきて」


顔見知りが、入ってくる。


「泰道くん、しばらく」

「元気だったか?」

秋吉さんと、久子さんの、コンビが来た。


「この子は、どうだ?」

桶のなかに、昆虫を入れていた。


「ゲンゴロウ?」

ゲンゴロウが、泳いでいる。


確か、幼虫の方が、恐ろしいんだよな・・・


「無理。食事を確保出来ないです」


秋吉さんと、久子さんが、何やら話をしている。


「じゃあ、これは?」

「今度は何?」


見て驚いた。


「コオイムシ?」

「ピンポーン」


背中に卵を乗せている。

オスか・・・


昆虫を飼うのはいい。

でも、餌を確保出来ずに、死なせてしまう。


よくある、失敗だ。


ちなみに、ゲンゴロウはそのままゲンゴロウ。

コオイムシは、チルドと名付けたらしい。


子→チルドレンね・・・


タガメのトルくんは、ガメ→カメ→タートルらしい・・・


そういや、Qちゃんがいないな・・・


「あっ、Qちゃんなら、ゆきおのところだよ」

さくらが言う。


お知らせありがと、さくら。

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