君がいるだけで

第32話

お風呂掃除が終わった。

部屋のベットに、倒れこむ・・・

「疲れる・・・いろんな意味で・・・」

(さくらちゃんかい、しっかりしてくるよ)

先日、千夏さんが言っていたが・・・

わかる気がする・・・

別の意味で・・・

「昼飯か・・・いいや・・・」

食欲はあるが、睡眠欲が勝る・・・

寝よう・・・

「泰道くん、おーきーろ」

さくらが入ってくる。

「どうしたの？グロッキー？若いのに・・・」

君が特殊です。

「そんなことより、お昼だよ」

「いらない」

「男の子は、たくさん食べなさい」

「やだ」

「わがまま言わないの」

まるで、幼馴染だな・・・

「ご馳走するって、言ったでしょ？」

「さくらの手料理？」

「うん。腕によりをかけるね」

「遠慮しておく」

「どうして？」

「女は料理人じゃない・・・」

本心は、言わなくてもわかると思う。

「私だって、自分の料理の腕前は自覚しているよ」

「じゃあ、誰が作るの？僕？」

「違うよ」

「じゃあ、コンビニ？出前？外食？」

「全部、外れ」

「じゃあ、どうするの？」

さくらは誇らしげに答える。

「妹の、さおりが作ります」

いなるな！

「でも、さおりは担当外だろ？」

「うん。でも、さおりがぜひ、『お兄ちゃんに食べてほしい』って・・・」

「そう・・・」

さおりの料理の腕前は、知らない。

でも、さくらよりは、ましだろう・・・

「わかった。いただくよ」

「了解。じゃあ、連絡するね」

さくらは、さおりに連絡している・・・

さおりは、お花畑かな？

文字通りの意味で・・・