第三章 第四話 レベッカとの謁見

「えぇ、何が起こったかは知ってもらう必要があるわね」


 そう言いレベッカは真剣な眼差しで言い始めた。


 話の内容はこうだ。


 その日、レベッカ達はアンにサプライズしようとしていた。


 お茶会で人形をプレゼントしよう。


 アン以外のみんなにそのことを言い、準備を整えた。


 レベッカ、エルファバ、ノコ、カルロス、ベイカーは庭園でお茶会の準備をし、ベルはアンの気をひくため一緒に遊んでいた。


 そのことを聞いて神代が「えっ? ……じゃ、命令でアンと遊んでいたの?」とレベッカに聞く。


 レベッカの瞳は横を向き、苦笑いで「喜んでたわよ、話した後、ガッツポーズするくらい……」と徐々に声が小さくなるように言った。


「あっ……」


「それよりも何があったか、よ!」


 引き続き話始めた。


 準備は整い、レベッカとエルファバが椅子に腰をかけ、ベルを呼ぼうと思った瞬間、ノコが「レベッカ様、不審者です」と言った。


 レベッカはノコが見ている方向を見る。


 門の前には白装束を着た青白い肌、目にはクマ、黒髪の女性が立っていた。


「お嬢さん、お帰り頂けませんか?」とカルロスは忠告するが、女性はブツブツ言いながらゆっくりとこちらに向かってきたそうだ。


「最後の警告です。お帰り頂けませんか?」


 女性は向かってくる。


 カルロスと目が合う。


 レベッカは頷き、カルロスは全身に稲妻を纏い、女性に向かった。


 しかし、カルロスはなぜか女性の前で立ち止まった。


 レベッカは立ち上がろうとしたが、動けなくなっていた。


 まるで石になったかのように動けない。


 女性はカルロスを横切ろうとした瞬間、白装束の裾から白蛇が飛び出て、カルロスの首に噛み付いた。


「にげ……」


 レベッカは「逃げて」と言おうとしたが、視界に見える全員が石のように固まっていた。


 そして、ノコ、エルファバ、ベイカーと順に蛇の牙が全員を襲う。


 女性がレベッカの目と鼻の先まで近づく。


 動けない。


 目の前で家族がやられているのに、何もできない自分が無力なのを感じたらしい。


 女性がレベッカの額を合わせる。






「うるさい」






 そこからの記憶は曖昧らしい。


「でも……あなたたちを襲ったのは覚えている。本当に悪趣味よね」


「それがここで起こったことなんだね?」


 真吾がそう言うと「そうよ、これが全て」と彼女は答える。


「じゃ、聞きたいんだけど。オロチ様って誰?」


 神代がそう言った瞬間、レベッカとカルロスの顔をしかめた。


「おい、なんで黙ってるんだ? 言えよあんたら」


「……皆さま、今日はここまでに致しましょう。さぁ、エルファバ様の所に案内致します」


「私はあなたに聞いてない、レベッカに聞いてるの。オロチ様って誰?」


 カルロスが神代の目の前に立ち「神代様」と言うと、険しい目つきで彼女を見る。


「知らなくていい事もあるのです。皆さまはお客様ですので話せるのはここまでかと」


「なんでだよ! 知ってるなら言えよ!」


「黙れ青二才! こっちは言いたくないんだ! 何でもかんでも答えを教えて貰えると思うな! 甘えるな!」


 レベッカが「カルロス」と呼ぶと、彼は一瞬にして冷静になり「はっ」と答える。


「彼らをエルファバのところに案内してちょうだい」


「畏まりました。では皆さま行きましょう」


「はぁ!? 話は——」と亮夜が言い出したので「亮夜」と声を出した。


 亮夜は俺を見る。


「今は落ち着こう。これ以上は無理だ」


 亮夜は少し黙り「クソッ」と呟いた。


「では皆さまエルファバ様の所へ参りましょう」


 カルロスは扉を開き、部屋を出るよううながす。


 全員が部屋を出る。


 その時「ごめんなさい」という声が聞こえたような気がした。

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