第12話 vs.赤巨人
「佑吾! あのでかいのは俺の班で抑える! お前の班は
「分かりました!」
班長の指示に従い、佑吾は
しかし、一匹対処したところで焼け石に水だ。他の
「佑吾から離れろー!!」
コハルが
「燃えなさい! <
「ギャッ!?」
「とどめだ!」
サチが呪文を詠唱すると、ワンドの先から拳大の大きさの火の玉が迸り、
佑吾はサチの魔法で怯んだ
佑吾は、コハルとサチの二人と連携しながら、
自分に飛びかかってきた最後の
「よし!」
佑吾は、広場にいた
戦況は、かなり劣勢のようだった。
三人のうち一人は腹部を押さえながら倒れていて、顔は苦痛に歪み、戦闘に巻き込まれない位置まで下がっていた。
残りの二人は、
「サチ、ライルさんはまだなのか!」
倒れている人に駆け寄り、治癒魔法をかけながら佑吾が聞くと、左手をこめかみに当てる。通信魔法を使っているようだった。
「ライルたちも魔物と戦闘しているみたい! 強い魔物はいないから大丈夫みたいだけど、こっちに来るまでにはまだ時間がかかるそうよ!」
「つまりライルさんがこっちに来るまで、あいつの相手をしなきゃいけないのか……」
じっと、
佑吾の眼前で、化け物が仲間相手に暴れ回っていた。
両手が震える。
足にもうまく力が入らない。怖い。もしこの場に自分一人しかいなかったら、佑吾は迷うことなく逃げただろう。
しかしこの場には、八ヶ月もの間、素性の知れない自分たちを優しく迎えてくれた人たちがいる。
サチとコハル──守るべき大切な家族がいる。
それを見捨てて逃げるなんて、出来るわけがない。
佑吾は両手を強く握りこみ、震えを無理やり押さえこんだ。
治癒魔法をかけていた怪我人の痛みがおさまったのを表情で確認すると、佑吾は立ち上がり、握っていた棍棒をその場に落として腰に付けていた石の手斧に持ち替えた。
「俺とコハルが敵の攻撃を受けます! 二人は槍で攻撃してください!」
だから佑吾は、自分たちが
加えて、石槍を持っていない佑吾では攻撃役として力不足なので、
「っああ、頼む!」
戦闘をしていた二人は、
「ゴガアアアアアアアアアア!!!!」
(死っ──)
本能で死を感じた佑吾は、慌ててその場を飛びのいた。
直後、先ほどまで佑吾がいた場所に、丸太が凄まじい勢いで叩きつけられた。
地面が、打撃音とともに抉られ砂埃が舞う。
──もし、あれが自分の頭に直撃していたら。
そう考えた佑吾の心の中に、頑張って抑え込んだ恐怖心が再び噴き出した。
みんなを守るという決意が、
体が死の恐怖に囚われ、震えて動けなくなる。
そんな佑吾に、
「させるかあああ!!」
死の危険を感じた佑吾が身が竦んで動けずにいると、石槍を持った二人が、声を上げながら
石槍が突き刺さり、
「やあああっ!!」
コハルが、暴れていた
しかし、まるで大木を殴っているかのような感触が返ってくる。
事実、
「コハル! あんたの攻撃は効きにくいから、攻撃を避けるのに集中してアイツを引き付けて!」
「うん、分かった!」
「食らいなさい、<
サチがコハルに指示を出しながら、魔法を放つ。
火の玉が
サチが思わず、快哉を上げる。
「よし!」
「…………グルル」
しかし、
反撃されたことが気に障ったのか、雄叫びを上げながら突進してきた。
「グオォォォアアアアアアアアアア!!!!」
「火は効かない!? それなら──<
サチが再び呪文を唱えると、サチの持つワンドから今度は電気が迸った。
サチの放った電気が、先ほどのように
先ほどの<
その隙を突いて、石槍を持った村人たちが
「ゴギャアアアッ!?!?」
暴れ回る
(何をやっているんだ、俺は!!)
勇敢に立ち向かうみんなの姿を見て、佑吾は
みんなが戦っているのに、自分だけ怯えて動けないなんて、情けなさ過ぎる。
キッと、佑吾が
すると、サチの魔法による痛みに顔を押さえて暴れていた
「どこ見てんだ、お前の敵は俺だ!!」
サチが狙われている。
そう思った佑吾は、とっさに
佑吾の全力の一撃だった。
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