問0-1 馬と鹿
夏の文化祭を通して、白鳥と僕の心の距離は近づいたと思う。二年C組は演劇を発表した。演目は、
『あの日見た、馬と鹿の気持ちを僕達はまだ知らない。』
――であった。白鳥が馬の役を、僕が鹿の役を演じた。保護者には受けて拍手喝采を浴びた。良き思ひであり、青春の一頁であろう。
しかし、その後、馬と鹿の、いや彼女と僕の関係に進展がないのが現実だ。その膠着状態を、打開するための絶好の好機がやってきたのである。
「席替え」――である。
僕と白鳥はそれなりに知った仲ではある。だがしかし、男子、女子、としての出会いはまだであると、敢えて主張したい。だからこそ、こう問うのである。
「席替えに出会いを求めるのは間違っているだろうか」
僕は数学Aのノートを開き、シャーペンを強く握り走らせた。
つづく
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