第1話η 未知の世界

ふむ。

瞬きをした瞬間に見ている世界が変わるのは何かの幻覚現象だろうか。

最近は夜通しで研究などしていないのだけれど。

研究室にて座って研究資料を眺めていたはずなのに次の瞬間、中世ヨーロッパの街並みが現れた。

数々の不可解な現象を発見し、人類発展のために研究して技術進展に努めてきたがまさかこんな体験をすることになるとは思わなかった。

もしかして、これって最近流行っているといわれる異世界転移というものだろうか。

もしそうだとすると元居た世界に取り残してきてしまった旬柳はどうしようか。

あれは私の最高傑作だ。

世界最強の兵器であり、私好みの人形でもある。

あれを作るがゆえに異星のテクノロジーをふんだんに使ってしまった。

地球由来の原材料を使っているが、これが地球連合にばれたら非常にまずい。

あれはいわゆるクローンに分類されるものだ。

基は私の遺伝子を使っているので性別や容姿を一切変えていなければすぐにクローンだとばれてしまう。

結局変えて別の容姿をしたのができたがまあいい。

旬柳の扱いより心配なことが一つある。

内面的なプログラムの調整をミスって好感度が限界突破して崇拝型のヤンデレっぽくなってしまったんだけども。しかも、それに気づいたのが起動直後っていうね。

自暴自棄になって世界を破壊し始めたら嫌だし、自殺されても困る。

あぁ、旬柳もこの世界に跳ばされていないものか。

絶対に反応しないであろうGPSを起動して反応を見る。

「あれ、反応してる」

旬柳の反応があったことに安堵と不信感を抱いたよ。

――――――――――

そんな彼の名は春埼水雲。

旬柳の開発者であり管理者である。

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失踪確定の落書き 白ノ宮 @sironomiya

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