第311話ゆったり、まったり
秋晴れである。ちょっと肌寒いくらいの本格的な秋になってきた。最近、せわしなく、ちょこちょこ活動していたので、今日は一転ゆったり、まったり過ごそう。
太陽の光が部屋の奥まで差し込む。おだやかな午後である。近くの公園から子供たちの遊ぶ声がきこえる。のどかだ。
近頃、インスタント緑茶にハマっている。美味しいうえに粉末状なのですべてお茶として楽しめる。ゴミが一切出ないのである。お茶の出がらしを捨てずにすむ。なんとエコなのだろう。地球にやさしい緑茶。大いに気に入っている。
ずずずっとお茶をすする。まったりした午後にちょうどいい。う~ん、よきかな、よきかな。
何もしなくてもいいのだが、ちょっと何かをしてみたくなってきた。なのでさっきから本をちょっとずつ読んでいる。
國分功一郎著、「暇と退屈の倫理学」である。この人哲学者である。語り方がゆったりと落ち着いているので、いかにも哲学者という感じだ。
この本をちょこっと読む。するとパスカルが退屈について語っている文章に出会った。引用してみる。
「人間の不幸などというものは、どれも人間が部屋にじっとしていられないがために起こる。部屋にじっとしていればいいのに、そうできない。そのために自分でわざわざ不幸を招いている。」
う~む。思い当たるふしがあり過ぎて怖い。世界的な哲学者はさすがである。私などは、部屋にいることが多いが、部屋でバタバタ何かをやっていることが大半だ。ゆえに、じっとしているという言葉とは無縁の生活をしている。それは退屈から逃げているといってもいい。退屈がなぜそれほどまでに避けねばならないことなのか?
今日はふと立ち止まって退屈と向かい合って過ごそうと思う。なにも恐れることはない。太陽の光を浴びて心地よい風に吹かれる。それだけで十分だという心境になってきた。
人には走ることも必要だが、時に立ち止まって、まったりすることも必要である。緩急をつけることによって生活はもっと鮮やかな色彩を放つ。
緑茶をぐびっと飲みつつ、本を片手に退屈と向き合う。そんな日があってもいい。
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