第276話愉快な妄想

 私には人に隠している妄想がある。ここで披露すると、アブナイ人だと思われるかもしれないが、妄想自体が無害なものなので思い切って披露してみることにする。

 実はこの世界は無数の似たような宇宙がマトリョーシカのごとく重なって存在しているのではと思っているのである。

 詳しく説明しよう。この世は無数の原子からなるという。その原子をさらに小さな視点から見るとその原子の中には我々の住む宇宙と似たような宇宙が存在する。その宇宙の原子には、さらに小さい宇宙が存在し・・・、というように無限に宇宙が存在し続けるのである。

 このように考えると、正直言って楽しい。独りでもそもそご飯を食べている時などにこの妄想を思い返すと、我々の身の回りにはいたるところに我々のような人間が存在しており、それは目に見えないだけで、無数の数限りない者たちがせわしなく生活している。そう想像するだけで孤独感は消え、逆に騒々しいとさえ思えてくる。

 我々と似たような存在が無数に存在する。しかしそれらは、似て非なる者である。一人として全く同じ者はいない。そう考えると賑やかで楽しい。

 皆さんも自分だけの楽しい妄想をお持ちではないですか?それはあまり人に明かさずに、自分だけのひそかな楽しみとして取っておくのが賢明です。

 私にはまだいくつかの秘めたる妄想があるので、今回この妄想を披露しても困りません。楽しみはじっくりとってあるので、ご安心を。

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