第255話昨日のテーマ

 昨日のエッセイでイラク戦争のことを考察していくという文章を書いた。その通り、昨日も今日もそれに関する資料をサッと読んだ。まだ結論ではないのだが、イラク戦争を始めた理由についておおよその答えは見つかった。

 なぜイラク戦争を始めたのか。それはフセイン体制への過大評価である。過去に彼は大量殺戮兵器を使って戦争をした。毒ガスを主とする戦法だ。そのことを根拠として、これから先も大量殺戮兵器の保有はし続けるとアメリカの一部の首脳たちが考えた。なので、将来的に生物、化学兵器や核兵器の保有をフセインが目指すだろうと考え、危険の芽の小さいうちに叩いておこうとしたのだ。だからその兵器の保有に関する証拠をでっち上げた。諜報活動では証拠は見つからなかった。なので、文字通り証拠をでっち上げたのだ。その上でイラク戦争を始めたのだが、戦争が終わっても大量殺戮兵器は見つからなかった。アメリカの最大の誤算である。

 9.11の件を利用して、アメリカの危機とフセインの脅威を同列に扱い、あたかもアメリカの危機の排除にフセイン打倒が必要だというプロパガンダを打ち上げた。

 戦争の結果、どうなったか。中東の混乱に乗じて、イスラム国というテロ集団が暗躍することとなった。

 イラク戦争の最大の問題点は、戦争を始めるにあたって、事前にイラクに対して正しい情報をほとんどもっていなかったということだ。それなのに、戦争を勢いに乗じて見切り発車してしまった。極めて感情的かつ短絡的と言わざるを得ない。

 9.11によって感情的になったアメリカという巨大な国家が、いわば暴走したとしか思われない行動。それがイラク戦争である。

 今年の秋にアフガンからもアメリカ兵は撤退する。なんとも苦い結末だ。

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