第197話不条理

 テクテク歩いていくと、街が見えてきた

 そこの住人は皆、下を向いてうつむいている

 とある一人に話しかけてみる

 「あなたは幸せですか?」

 住人は答える

 「いいえ、あなたが来るまでは幸福だったのですが」

 私は困ってしまって問いを重ねる

 「なぜ、私が不幸の原因になったのですか?」

 住人は答える

 「あなたはこの町のバランスを崩してしまった」

 私は訳が分からず、窮していると住人はさらに言った

 「世界はかろうじて均衡を保ってきた

 あなたという存在はその均衡の中心にいる

 あなたは動くべきではない。帰りなさい」

 私はしかたなく私の世界という牢獄に帰っていった

 

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