第82話 ドリーム・ソード

「これが俺の夢の剣だ!」

「うわあ!?」

 望は自分の剣で斬りこんできた灰色5号を跳ね返す。

「夢の剣だと!?」

「そうだ。ドリーム・ソードだ。夢を司る魔法使いの俺にピッタリの剣だ。」

「クソッ!? ふざけやがって!?」

 望は魔法使いから魔法剣士へと進化した。これで接近戦も大丈夫。

「さあ、勝負だ! 俺の夢と、おまえの血、どちらが強いか勝負だ!」

「ストップ!」

 その時、灰色5号が戦いを止める。

「どうした? トイレか?」

「違う。おまえたちの血を吸ってないから、血液不足だ。トマトジュースを飲んでくるから一時休戦だ。」

「はあ!?」

「こらー!? トマトジュースも血じゃないぞ!?」

 そういうと灰色5号は姿を消した。

「なんだったのよ?」

「まあ、いい。今の間に都庁を目指そう。」

 望とハチコは魔法大都市新宿にある魔法東京都の都庁に向かう。


「これが都庁か!? 大きいな!?」

 望たちは都庁の麓にたどり着いた。

「こっちです。」

 ハチコの案内で展望台行きのエスカレーターに乗る。

「高いな。俺の高校と同じくらいの高さかな?」

「そうですね。当時は東京で1番高い建物でしたから。」

 空にも手が届きそうに高くそびえる都庁の展望台を過ぎて、そのまま天界の神様の元へ直行する望たち。

「おお! 天界だ! 久しぶりだな!」

 望は新宿の天界に来たのは初めてだった。

「よく来たな人間ども。」

 その時、一人の天使が現れる。

「お久しぶりです。」

「誰だ? この天使は。」

「新宿の天使、新天様です。」

 新宿の天使も省略した呼び方で呼ばれていた。

「神様がお呼びだ。ついてこい。」

「こいつも下界にいったら、人間に染まるのかな?」

「分かりません。」

 望は渋天の話をしている落ちた天使のことを堕天使と呼ぶ。

「よく来た。魔法使いよ。」

 新宿の神様、新神様が望たちを出迎えてくれる。

「望が次のレベルに上がるには経験値が35億1265万ポイント必要だ。」

「ゲーム違ってますから!?」

「面白い人間だ。」

「あんたも面白い神だよ。」

「ワッハッハー!」

 上機嫌で打ち解けあう望と新神であった。

「なに? 折角、冒険するのに何か目的がない?」

「おい、そんなことは言ってない。」

「分かった。それなら世界に何でも願い事が叶う、夢の欠片というアイテムを投入しよう。たくさん集めてレアなアイテムと交換だ! ワッハッハー!」

「なんてマイペースな神様なんだ!?」

 これが最大権力者の神の所業である。

 つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る