第80話 灰色5号
「確かハチコは、魔法東京都庁の展望台行きエレベーターに乗って天界に行き、神様に会って魔法使いになったと言っていたな。」
「はい。」
「とりあえず、現状が分からないから神様に話を聞きに行こう。」
望たちは都庁に行こうと魔法のほうきに乗って移動する。
「キャア!?」
その時、ハチコのローブに何かが付着したように感じられる衝撃があった。
「これは!? 血!?」
ハチコのローブに着いていたのは、血だった。
「大丈夫か? どうして空から血が降って来るんだ? クスクス。」
「こらー!? 笑うな!」
望も鳥の糞ではないことに不思議がる。
「あの、目の前にいるので気づいてもらえないかな? それともわざと見えないふりをしているとか?」
その時、前方に一人の魔法のほうきに乗った者が現れる。
「おまえは!? 灰色の魔法使い!?」
現れたのは灰色魔法のローブ、灰色の魔法の杖、灰色の魔法のほうきを装備している灰色の魔法使いだった。
「灰色の魔法使い?」
「敵だ! こいつらは何かあるたびに俺の邪魔をしてくる奴らだ!」
望はハチコに灰色の魔法使いについて説明する。
「面倒臭いな。毎回、灰色の魔法使いに出会ったら説明をする気なの?」
灰色の魔法使いは面倒臭がりだった。
「いくぞ! 灰色5号!」
「灰色5号?」
「そうだ! おまえで出会った灰色の魔法使いが5人目だからだ!」
「なんじゃそりゃ!?」
望は今までに4人の灰色の魔法使いと戦っているがどれも危険な魔法の使い手ばかりだった。
「もうどうでもいいや。君たちは都庁には行けないよ。」
「どういうことだ?」
「ここで私が殺すからだ!」
灰色の魔法使いが魔法の詠唱にはいる。
「くるぞ!」
身構える望とハチコ。
「血魔法! サック・ブラッド!」
灰色の魔法使いが剣を構え魔法を唱える。
「え? ええ!? なに!?」
「これは!?」
望とハチコの全身から血が湧き出してくる。そして血が灰色の魔法使いの剣に吸われていく。
「どう? 美味しい? エクレアさん? 魔法使いの血だよ。まだまだ血が足りない。あいつらから血をむしり取るからね。いっぱい飲んで大きく育つんだよ。」
灰色の魔法使いは血を吸っている剣に気持ち悪く話しかける。
「おい。おまえ、頭がおかしいのか?」
「気持ち悪い! 変態! 女の敵です!」
望とハチコは灰色5号の性格を心配する。
「なぜだ!? なぜ動ける!? おまえたちの血はブラッディ・ソードに吸わせたはずなのに!?」
「俺は夢を司る魔法使い。おまえに血を吸われたことは、夢の彼方に飛ばした。」
レベルアップを続ける望と灰色の魔法使いとの戦いが始まる。
つづく。
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