第67話 狂気の魔法使いの胎動
「特殊能力? そんなもの魔法を置き換えただけだろ。何も変わらない。一緒だ。」
どんどん心が荒んでいく望。望の夢は真っ黒けになり、野望や野心といったものは悪い夢であり、望は独裁者の才能を開花させていく。
「どうして俺は自分の中にある黒い感情に気が付かなかったんだ!? もっと早く自分自身に夢に素直になるべきだった!」
望は、第2シーンで自分の中の悪い夢に気づいていれば、もっと早くに面白い展開になっただろうと後悔する。ジョーカーのように善良な男子高校生が悪に堕ちていくのだ。
「この世界は俺のものだー!!! ワッハッハー!!!」
世の中に、人間に、夢が破れて絶望するれば、あとは狂気の世界に足を踏み入れるしかない。
「不思議なものだ。純粋に世の中を良くしよう。人間は良い生き物だと信じていると面白い物語にならなかった。」
性善説の純粋な物語など、特にこの層の対象にはならないのだろう。
「侵略、略奪、破壊、戦争、争い。どうしてだろう? 人間はなぜ、ここまで争いが好きなのだろう。体の中の血が沸き立つほどに。人間が2人いれば争いが起こり、他人を見れば相手が起き上がらなくなるまで叩き潰す。それが人間の本能だ。」
完全に望の夢から光が無くなり闇に覆われている。
「新たな俺の夢は世界征服だ!」
なぜ人は世界を自分のものにしたがるのだろうか。
「侵略されたエリアを取り戻す正義のヒーローを演じることができないのであれば、自分で侵略していけばいいのだ! 奪われるものがいれば、奪う者がいる。単純な自然の摂理だ。」
これで創作してきた戦闘エリアが無駄に終わらなくて済む。
「次に何をする? 私一人で世界征服をすることは不可能だ。私の手駒となって働いてくれる奴隷という名の仲間がいる。」
これが望のクラスメイト達だ。
「どうすれば奴隷を俺の指示に従わすことができるか? 俺は出世しなければいけない。パワハラやセクハラのできるポジションを手に入れなければいけない。いじめられっ子ではいけないのだ。いじめる側に立たなければ、世界征服どころか、今日という1日を無事に過ごすことはできないのだ。」
望は一つの結論を出す。
「クラス委員長だ! そして将来的には、生徒会長の座を手に入れるんだ! そうすれば生徒は全て、俺の奴隷だ!」
望の狂気の夢は花開く。
つづく。
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