第55話 解凍方法

「氷の中の生徒たちをどうやって助けよう?」

 望たちは氷漬けにされた生徒たちの救出方法を考える。

「ここは私の魔法で、奇跡を起こすしかない! 失敗したらどうなるか分からないけど。」

 希は窮地は奇跡魔法で全て乗り切れることに気づいた。

「みんなを黒に塗りつぶして、夢も希望もなくして、さまよえる渋谷人レベル1に変えるのはどう?」

 イバラに氷の中の生徒たちを助けるつもりはなかった。

「それもいいわね。そうよ。助けるのはやめて、こいつらを夢魔の世界に消し去るというのはどう? 時間もかからないし、良いアイデアだわ。」

 リリスは、生徒が生きようが死のうが関係ない。

「おまえたちには血も涙もないのか!?」

「望お兄ちゃん!? 誰を選んでも地獄の新婚生活だね!?」

 望と美杉は未来予想図に恐怖した。

「仕方がない。私がヘルハウンドを呼び出して、火を吐かして氷を溶かそうか。」

「おお! そんなことができるのか?」

「できない。でも火を吐かないとヘルハウンドの命はない。」

「やめてあげて!? いやー!?」

 ペットの運命は飼い主の気分で決まる。

「こうなったら俺が何とかするしかない! 俺の夢魔法なら、みんなを助けたいと夢を爆発させれば、きっと、みんなを助けられるはずだ!」

「いけ! 望お兄ちゃん!」

 望は自分の中で、みんなを助けるという夢を膨らませていく。

「輝け! 俺の夢よ! 諦めなければ叶えられない夢はない! うおおおおー! 夢魔法! ドリーム・カム・トゥルー!」

 望の拳から、みんなを助けたいという夢が羽ばたいていく。

「ああ!? 望お兄ちゃんの夢で窓ガラスが割れる!?」

 パキーン! シャラン! っと高層ビルの窓が割れて、氷の世界に外の温かい空気が入る。

「これなら外気で氷が溶けて、氷の中のみんなを助けられる!」

「さすが! 望お兄ちゃん!」

 望の夢が、氷に閉じ込められた仲間を救うのだった。

「や~い。ガラス割ってるんだ。先生に言ってやろう。」

「そうか、そういう悪いことをして助ける方法があったのか。勉強になるわ。さすが私が選んだ男だわ。」

「望は生まれながらの悪魔ね。どうりで望の夢の中は居心地が良いと思った。」

 希たちは多種多様な意見があがる。

「ここは私たちに任せて、先に進んでください。」

「戦いのダメージもあるので、もう少し休んでいきます。」

 氷の魔法使いのヒムロとレイが氷が溶けるまで生徒たちの様子を見守る。

「分かった。ヒムロ、レイ、必ず追いついて来いよ。」

「おお! 必ず追いついてみせる!」

 望と水の魔法使いのヒムロとレイに友情が芽生える。

「それから、こいつの氷だけは溶けないようにしてくれ。」

「分かった。氷魔法! 氷の棺! アイス・キューブ!」

「氷魔法! 絶対零度! アブソルート・テンパラチャー!」

「これで良しと。仲間を見捨てた罰だ。」

 望たちは次の階を目指す。ちなみに氷を分厚くされたのはクロムであった。

 つづく。

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