第31話 強風が吹く

「この前のスケート勝負では負けたけど、今度は負けないわよ!」

「何をやっても、あなたは私には勝てない。なぜならあなたはどんくさいからよ。」

「なんですって!? ウッキー!?」

 希とイバラはケンカするほど仲が良い。

「そのうち目からビームとか出るぞ。」

「そんな義理のお姉さんも好きです!」

 望と美杉の兄弟は、将来どちらかが嫁と義理の姉になることに戦慄を覚える。

「ということで、高校生の青春モノらしく、スポーツをしましょう。教師魔法! ディメンジョン!」

 担任の苺が教師は全員使える異次元に移動する魔法を使い、別次元にある魔法渋谷スポーツ競技場に舞台を移す。

「なぜに!? ラグビー!?」

 今回のスポーツは、ワールドカップの行われているラグビーだった。

「魔法使いらしくオリジナルな競技を創作すればいいのに。」

「ご意見・ご要望は却下です!」

 教師の前に生徒は成績を人質に取られているので言い返せない。

「それではAIロボットとラグビー対決です。キックオフ!」

「なぜに魔法ものなのにAIロボット!?」

 対戦相手は、魔法使いの敵でも、モンスターでもなく、AIロボットだった。

「こうなったらやるしかない! キックオフのドロップキックだ!」

「おお!」

 こうして何気なく始まったラグビーの試合。望のクラスメイト達はラグビーを頑張るのだった。

「タックルされそうになったら、液状化! 水魔法! リクエファクション!」

 水の魔法使いたちは、敵のタックルを体を水に変えてかわす。

「止めれるものなら止めてみろ! 全員蹴散らしてやる! 火魔法! ファイア・トライ!」

 火の魔法使いたちは、情熱で全身を燃やして敵を蹴散らしてトライを決める。

「敵のペナルティーキックは全て迎撃します! 雷魔法! サンダー・ショット!」

 雷の魔法使いたちは、雷で敵を、敵の蹴ったラグビーボールを真っ黒にして失点を防ぐ。

「相手のスクラムは崩します! 地魔法! アースシェイク!」

 地の魔法使いたちは、地震を起こして、敵味方関係なくスクラムを地割れの底に落とす。

「こうなったら全員を凍らせます! 氷魔法! フリーザ!」

 氷の魔法使いたちは、精一杯の凍気でラグビー場にいる選手から観客まで全てを凍りつかせる。

「やっと私たちの出番だ! 初登場! 風の魔法使い! 風花フウコ!」

「同じく風の魔法使い! 風乃ハヤテ! くらえ! 風魔法! ストロング・ウインド!」

 風の魔法使いたちは、強風でラグビーボールを競技場の外に弾き飛ばす。

「本当に、こんな魔法ラグビーがあったら夢も希望もない。私の悪夢を見るよりも悪夢だ。ノーサイドと。」

 クロムは、見てはいけないものを見てしまった気分だった。

 つづく。

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