第30話 高層ビルが凍る

「火事になり、雨が降り、雷が落ち、地震が起こる。これも全て、おまえの性だ! 女狐!」

「知らない。この駅前の高層ビルが呪われているんじゃない?」

 いつも通り希とイバラは冷戦を繰り返し、いがみ合っている。

「美杉、兄弟は仲良く暮らそうな。」

「そうだね、お兄ちゃん大好き。」

 望と美杉は、安全第一なので二人の魔女には近づかないようにした。

「それでは学級委員会を始めます。あと、よろしく。」

 担任の伊集院苺は、適当な女教師であった。

「まったくいい加減な先生なんだから。お題は、どうやって遊んで青春するかです!」

 議題もかなりいい加減であった。望のクラスメイト達が議題を話し合う。

「はい! 魔法東京オリンピックもあるし、スポーツでいいんじゃねえ。」

「この魔法渋谷のどこで、野球やサッカーをするスペースがあるという?」

「魔法スクランブルスクエアのフロアを2、3フロアを貫いて、運動スペースにしたらいいと思います。」

「魔法使いらしく、魔法で別次元に競技場を作ればいいんじゃない?」

「あれ? 私たちって魔法少女、魔法少年じゃないの?」

「あくまでも魔法ハリーポッターのような魔法使いです。」

「分かりました。皆さんの意見を取り入れて、発表します。」

 生徒たちは自分たちが何をすることになるのかドキドキしている。

「私たちの進む道は、アイドルです!」

「はあ!? アイドル!?」

「ただの学生からのアイドルではなく、魔法使いの学生からのアイドルです。」

「素晴らしい部活動になりそうですね。」

「いえ、ただの音楽の授業です。本分は魔法使いですから。」

「みんな! がんばろう!」

「おお!」

 それでも生徒は決まったことには従わなければいけない。

「これで声優さんのCD販売、握手会、サイン会、ライブ、リズムゲーム、青春モノ、部活動モノとして、宣伝広報もできる、一石二鳥以上の儲かるコンテンツが目白押し。ウフフッ。キラーン。」

 不敵に笑う苺。この方針には学校側の威光が大きく絡んでいる。

「許せん! 若い女の子に握手させて、キモイおっさんにCDを売りつけるキャバクラ商法だと!? 大人の汚い部分が見えてくる! こんな学校! 私の悪夢で呪ってくれるわ! 悪夢魔法バッド・ドリーム!」

 クロムは、悪夢の呪いをかける。

「私たちも手伝います。」

「おまえたちは?」

「氷の魔法使い、氷花レイ。」

「同じく氷乃ヒムロ。くらえ! 氷魔法! フリーザ!」

 現れた氷の魔法使いの二人が放った氷魔法で、学校の入っている魔法渋谷スクランブルスクエアの構想ビルが凍り付いていく。

「やったー! スケートができる! わ~い!」

 完全に氷で覆われたビルの屋上の空中庭園で、望たちはアイススケートをして楽しみました。

 つづく。

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