第38話古帝1

 両者は離れ、火力を入れ、再び距離が勢い良く衝突する。

砂塵の中を打ち消し突っ込む。

 ガイルウルフは大きな口を開き、牙で噛みちぎろうする。

 俺は左手の剣で突き刺しにかかる。 


「ガンッ!!!」


 ガイルウルフの歯が剣の刃を削り火花を散らせ、一旦離れる、両手の鉤爪を右から左へと交互に連続で狙ってくる。

 俺は剣で弾き返し、突き刺しの連続で反撃する。

 攻撃の応酬が続く。

 鉤爪攻撃、剣で弾く、剣で突き刺し攻撃、鉤爪で防御と繰り返す。

 次の瞬間、俺の突き刺しがガイルウルフの喉元へ突き刺さった。

 綺麗な一本線が貫き、剣の刀身は血で染まり、血飛沫が空中で染まる。

 仕留めとばかりに再度勢い良いをつけて、突き刺し、喉元にねじ込む。

   

   HP0/300↓ MP0/300 ↓


 ガイルウルフは地面に音を立てて倒れ、ブルッブルッと奇怪な動きをする

 悲痛な表情を見せ、地獄の底から聞こえる呻き声が響き渡る。

 

「……」


「ウウアアアアエアウェウウ!!!!…………」


「グハッ…………」


 死んだか……。

 その瞬間、ガイルウルフの黒い亡骸から青い光が発生し、再び更なる強化をし、復活を遂げる。

 

 【上位種転神化(バースト)】

 異世界神は生命の危機に瀕すると、上位神種に転位することがまれにある。

 その場合、当然、レベルは上昇し、スキルは獲得、即時使用、全てのステータスの回復をすることができる。


「なんだと……」


 目の前には牛のような角を生やし、紅の両眼は飛び出し闘争が増し、黒い肉体は異常に膨れ上がる。

 

孤独狼ガイルウルフ】→【黒大狼オオブラックウルフ

 ランク D

 種族 狼神下位種→狼神上位種(ウルフガミ)

 レベル 100→400

 体長  4メートル→5メートル


HP 300/300 MP250/ 300

HP1500/1500 MP500/500

 

スキル 攻撃力強化5 威嚇6

     →

 スキル 攻撃力強化8 威嚇8 小回復3 闘争心7 粘着の液体8

 

【闘争力】レベル7を獲得しました

 すると、大黒狼は痛みで悶えながらもそれを振り切り、怒りで横回転しながら飛んでくる。


【闘争力】レベル7を獲得しました。


 【闘争力】レベル7

 ランク A

威力  攻撃力+100~1500

 効能 攻撃されればされる程、イラついて自身の攻撃力が上昇する。

  

「こんな異常なまでの成長速度見たことがない」


 それは高速のカーブの放物線を描き、直剣に衝突し、何とか弾き返そうとするが、円心力による増強もあってか、想像以上に重い。

 俺の腕部分の魔甲に損傷を伴い、弾き返すのも一苦労。

 強い……侮っていた訳ではないが……。

 それにしても、なんだこの寒さは。

 まだ、昼まだというのに、森林一帯は急激な低温となった。

 

【ダンジョン異常気象】

 突発的に、原因不明で急激な高温や低温にダンジョンが見舞われる。

 冒険者に緩やかなステータスの減少が発症する。

 

 俺のMP、HP、が徐々に減少する。

 参ったな……。

 よりにもよって、MPとHPか。

 大黒狼は弾かれたら即座に二攻撃目とへ移る。

 俺は弾き返し続けるしかない。

 だが、三、四、五撃と勢い衰えることなく衝突してくる。

 うぅ……右腕の骨が折れた。

 何とか、左手の銃で大黒狼の胴体に二、三発睡眠弾を打ち込み、動きを止める。



「グラァ?」


  HP1500/1500 MP500/500 状態 小睡眠


「この化け物のからしても、現状俺の最大限の睡眠弾の効き目もっても数秒か」


 その間に俺は間合いを取ろうと上昇し、即座に直剣で円を作るように回す。

 時が止まったかのように、綺麗な円、まるで空中に浮かぶ満月のように。

 満月の外側は影、内側は金色。

 

 【満月マンゲツ】レベルMAX

 ランク A

 威力 雷、土、水属性魔力+300

 効能 高出力の魔力を極限までに直剣に纏めた。直剣には荒々しい魔力は一切なく、よどみのない魔力までに仕上げた。

 質の高いしかも繊細な魔力を纏う直剣を円形を描くことによって放たれる球体魔力。

 この球体には土雷水の属性魔力が溜まっている。

 もちろん他の属性も付与可能。


 「食らえ!!」


 眩い破壊の光線が巨大な体躯の黒狼に直撃する。


「バババババババババババババ!!!!」


 衝突した瞬間、爆音と爆発が轟き、打ち上げられた大閃光が空中に出現し、更に周りの林は一瞬で消え去り、真下の地面は円形に埋没する。


 HP1000/1500↓ MP300/500 ↓


しかし、大黒狼は全身に血管を浮き上がらせ、鼻息を鳴らし、巨大な腕を使って穴から這い上がる。

 こいつ……恐ろしいな。


 【超加速】レベルEX100

 

 俺は飛び出し、持ち替えた左手の剣で大黒狼の心臓を狙う。

 しかし、重い爪によって弾かれ、逆に横殴りの恐ろしい爪が迫る。


 【攻撃力強化】レベル8


 【超回避】レベルEX100


 俺は寸前で回避したが、大黒狼は待ってましたとばかりに不敵な笑みを漏らした。

 そう、俺の下には大量の液体があった、次の瞬間、粘着質のある固形化し、自由を奪う。

 そういうことか……。

 黒大狼の嬉しそうな顔で、大きな口を開け、襲いかかる。


【睡眠弾】レベルMAX


【隠蔽】レベルMAXを解除します


【睡眠付き細胞破壊時限式爆弾】レベルEX 100に変更します。


【睡眠付き細胞破壊時限式爆弾】

レベルEX100

 ランク S

威力 攻撃力+1500 全属性魔力+1500

 効能 様々な状態異常と組み合わせることで、威力が増す、また、時限式なため敵を撹乱させるためなどにも有効。


 そして、大黒狼は空中で表情を歪ませ、巨大な爆発をし、肉片や爪やとバタバタバタと地面に舞い落ちる結末を迎えた。


「ふぅ……終わったか」


 HP0/1500↓ MP0/500 ↓

 

 そして、大黒狼の素材やアイテムを回収して、なんとか倒し安堵した。

 しかし、また、耳障りな咆哮が聞こえてくる。

 まさかクロテアらが逃げて行った方向か……。

       *

 その頃、巨大なマンモスが暴れていた。

 30メートルはあろうかずっしりとした体格で、茶色の毛を纏い、くねった両牙、頭部には逞しい角と鉄製の鎧。

 鎧の両サイドから黄金色の目玉が見え、ギョロギョロと辺りを見渡している。


「「ピィィアアアアアアンン!!!!」」


 その音は振動となり、地面を揺らし、耳元に障りのある音として侵入してくる。

 マンモスの足には真っ赤に染まった血溜まりが周りを埋め尽くしていた。

 背後を見るとその血溜まりの塊は人間の頭部、俺と同じ学生服。

 もはや人間としての原型を留めていなくて、その血溜まりずっと後ろまで続いていた。

 ここまで一直線に進み、生徒達を踏み殺してきた。


 この異世界神は【古帝マモノス】別名忘却の怪物。

 ランク B

 レベル 200

 種族 マモノス神上位種

HP900/1000 MP200/200 攻撃力500 魔力500

 スキル ゲッター7 憤怒MAX 恐怖の凍土MAX



 

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