第35話休日1

 休日。

 アリアとの待ち合わせの約束のためエルグランド会館で待っていた。

 アリアとはこの前の模擬戦の団体戦で勝負したCクラスの子だ。

 夏の陽光が燦々と照りつける。

 がやがやとした楽しそうな人の声。

 休日とあってか人が多い。

 露出の多いラフ若い女から鎧と云った重装備を身につけた冒険者が多数いる

 かくいう俺は普段とは違い薄手の服装だ。

 それにしても暑いな、団扇ぐらい持ってくれば良かったな。

 ふと、通り過ぎる綺麗なお姉さんの艶めかしい肌に見惚れ、うふふと笑われていると。


「お待たせ~」


 細い声をした少女の声。同時に


 「……やんす」


 可愛いらしい声がする。

 アリアは青の薄手のカーディガンに白のワンピース。

肩に斜め掛けをさせた鞄。

 紐が豊かな胸を締め付けが強調されている。

 どこか淑女のようであり可愛いらしい服装だ。

 ユウラは可愛いらしいラフなノースリーブスの格好だ。

 胸はあまり大きいとは言えない。 


「結局ユウラも来たんだ?」


「そうなんでやんす。アリアが一緒に来て欲しいということでやんす」  


「へへ」


 ユウラに隠れながら頷くアリア。


「じゃ、行こう」


 そして、エルグランド会館から北へと少し歩いていく。

 目まぐるしい人の数に圧倒されながら、ユウラに促されるまま目的のお店へ向かう。

 そうこうしてるうちに、目的のお店へ到着した。

 レディース用水着、下着、ブラジャーが置いてあるオシャレなお店だ。

 ピンクや赤や白など色鮮やかである。

 俺の脳はピンク一色、キャハハウフフと聞こえてくる少女達の声。

 なかなか、男一人ではいけないな。


「合宿があるでしょ、そのための水着を買おうと思ってたでやんす。どれがいいか手伝ってくださいでやんす」


 合宿に水着必須なんてかかれていなかった気がするが。

 もう既にアリアは興奮気味に店内で水着を選んでいた。


「ユウラちゃん!! これどうかな?」


「いいと思うでやんす。ゼルフォード君はどう思うでやんす?」


 あんな小さな水着を履くんだと思いながら見て物色していると、冷たい視線を浴びた。


「えっ」


「ゼルフォード君って案外変態なんでやんすね」


「いや、こういう機会めったにないからさ」


「……」 


 気づくと周囲にいた薄手の服の若い女性客達に睨まれたり、舌打ちされていた。

 やはり、ここは男子禁制の場所か。


「出た方が良さそう」


 後はその辺りを行ったり来たりしながら時間を潰していた。

 だんだん時間が経つにつれ、腕組み足踏みが大きくなる。


「遅い」


 もうかれこれ一時間近く経っている。

 全然店内から出てくる気配がない。

 どうせ合宿で水着で遊ぶ時間はきっと思うから、どれでもいいじゃないか。


「ん?」


 ふと視線をどこからか感じる。

 正面にあるカフェか? 目を凝らして見ると、金髪のセミロングの顔立ちの良い美少女と対面には黒髪ロングの清楚系美少女がいた。

 見覚えのある二人だ。

 なんかいつの間にか、遊びに行くような仲になっているのか。

 俺は視線を逸らし、隅の方に隠れ、隠蔽スキルを発動する。

 これなら、バレない。

 というか、なんで俺隠れたんだ。


 数分後。


「こんなところで何をしているの?」


 見破られてるようだ。

 なせだ……。

 俺は顔を隠しながら、変な声で追い払おうとする。


「何んですか? 人違いですよ」


「正直、どうでもいいけど。犯罪は犯さないようにしなさいよ」


 

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