第25話模擬戦2

「まさか死んだりするのか」


「生命に異常をきたすようなら魔術闘技場に強制転送されるプログラムが組み込まれているから心配ないわ」


「良く知ってるな」


「Aクラスにいるなら、当たり前よ」


 皆の頭の上にライフゲージがある。

 これがゼロになったら、危険ってことか。

 ふと、クロテアの制服姿の上半身に目が留まる。


「クロテアすごい汗だぞ」


 クロテアの汗が脇部分から次第に広がっていき、黒く滲み出し、白のブラウスから下着が透けて見える。

 クロテアは顔を赤くしてドキッとし、胸元を隠す。


「……何よこれ」


「この暑さだからな」


「何じろじろ見てるの?」


「いや……悪い」


「こっち見ないで……」


 胸元を隠すの忘れてる。


「クロテア……胸」


「はっ……もう、あっち行っててゼルフォード君」


「なぁ。俺の水の魔力持ってるから綺麗にしようか」


「あっちに行きなさいよって言ってるでしょ!!!」


何を怒ってるんだ。

 だが、もう、そんな雑談してる場合じゃないようだ。

 敵チームも遅れて来たようだ。

 ユウラは登場して早々に笑みを浮かべる。


「ここはアリアにとっては有利なステージ。完全に勝ちは確定でやんす」


「そうかな……そうかな……ユウラちゃん! マリカちゃん!」


 すると、アリアは胸に手を当て、水の魔力を辺りに漂わせるも、すぐ水は消えた。


魔術構築力500↓

 魔術放出力0↓

  魔力の放出に失敗しました。


「はぇへ?」


 アリアは首を傾げ、次第に顔を紅潮させる。

 ガロロはその様子に笑いを吹き出す。


「ぷっハハハハハハ。だせぇーの! あれだけ偉そうにしやがってさ、降伏しろだのなんやかんや言ってたくせに、魔甲も具現化できねぇーのかよ」


「あれ……そんな」


「ぷっハハハハハハ!!!」


 アリアは落ち着きなく、あちらこちらに顔を向ける。


「どうしよ……どうしよ……どうしよ」


 ユウラがアリアの手を取り、ぎゅっと握る。


「アリア!! 落ちついてだよん」


「ユウラちゃん!!」


 互いに見つめる視線と視線。

 何だこの暖かいラブラブな二人だけの空間は。

 若干マリカが蚊帳の外になってて可哀想だな。

 アリアの魔甲を見ると、かなり厄介だな。


水女神スイジン

 ランク B

 青色のフォルム、両手から絶えずに水の魔力が流れている。

 女神をモチーフにした魅惑的な魔甲。

 最新型エルグランド製。特殊専用型。魔術特化型。水の魔力限定。

 性能

水属性魔力+300

火耐性+500

 敏捷力+50

魔術構築力+200

 魔術放出力+200


 水の魔力を漂わせ、持続的に発生し、三人には暑さや汗が浄化させられる。

 そして、水の魔力は消えずに、そのままを保ち、水の柱ができ、水の龍の形へ変わっていく。

 まるで水が意志を持っているかのように自由自在に動き回る。


 【水龍すいりゅう

 ランク B

 水による攻撃、防御を行う。強力な魔術。

  威力 水属性魔力+100

火耐性+100 


 ステルヴィア=アリア

戦闘レベル200 HP500/500MP400/400


 何て奴だ。これが一年生の魔術か。

 俺も水属性の魔力を持っているが、あれだけ水の魔力を使用する術は使えない。


「降伏するなら今の内ですよ」


 そして、アリア、俺の両名に紅の指輪がそれぞれ授けられる。


「では開始します!」


 開始と同時にアリアの水の龍は空中をくねらせながら、優雅に俺達に襲いかかってくる。


「ギャャャャャヤ!!!」


「やべぇな」


 早速たじろぐガロロ。

 このままでは三人とも水龍の餌食になり、ライフ0だな。





 

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