学習能力スキルを使ってチートスキルを覚える魔術の商人~帝国編~

カルシウムポテチ

1章異世界転生

第1話異世界転生1


 深夜12時、暗い部屋の中で、一台のパソコンは青色と緑色の光芒が点滅を繰り返していた。

 黒髪の男はうつらうつらとしながら、大きな欠伸を吐きながら、その自室に入り、だらんとした態勢で椅子に座った。


「今日で……最後か」


 ゼロ・オンライン~VRMMO記の発売当初はオンラインプレイヤー数百万人と賑わっていた。当時、8歳だった俺は興奮して、学校から帰ったら友達とは遊ばず、このゲームをプレイした。

 しかし、月日は12年が経過し、MMO人気の低迷、携帯ゲーム機やソシャゲーの人気の煽りを受け、今日でサービスは終了するとこになった。

 長かったような、あっという間のような、ただ悲しさが残った。

 さあ、最後にログインして、終わろう。

 マウスを触り、ホーム画面をクリックする。

 軽快なRPG音が鳴り、慌てて、VRゴーグルを頭に備えた。

 そして、視界には緑色の草原があった。

 ゲーム上では、俺はゼルスというプレイヤー名でやっている。

 最初の頃はゲームなんて全然下手で、スキル取得に何度もミスしまくって、結局覚えられなくて、パーティーの仲間に怒られたりしてたな……あの頃は悔しかったが、今となっては懐かしい良い思い出なのだ、ああ……もう一度あの頃に戻りたい。

 夕日が水平線に沈みかけ、鐘がゴーン、ゴーンとゲーム終了の合図を鳴らす。

 この鐘は永遠の終了の合図だ。

 俺は思わず涙を出しながらも、笑顔でお別れの挨拶をした。


「終わちまった。ありがとう。永遠にさよなら。ゼロ・オンライン」

 

 俺はログアウト欄をタップしようしたら、そこにあるはずのログアウト欄は無かった。


「ええ……ない」


 突如、


『ゲーム完全クリア報酬 学習能力MAXスキルを獲得しました』


 と表記された。


【 ゲーム学習能力MAXスキル】

 ランク 不明

 効能 

  スキル本に記載されているスキルを学習するだけで、スキルを獲得できる。

 対象はスキル、戦闘能力値。


 一回目にスキルの効能と放出方法、魔力数式を脳や身体に読み込むとスキルが獲得できる。

 ニ回目以降に技の発動を繰り返すとレベルは上がっていく。

 10回繰り返せば、スキルはレベルMAXになる。

 慣れてくると、スキルを見ただけでスキルを獲得できるようになる。

 戦闘能力の場合、獲得した経験値毎に10000倍の経験値が貰える。

 

「ゲーム学習能力MAXスキル? ……ゲームサービスは終了したんだ。使い道は無いのに」


 すると、突如、目の前に、男のような黒い影が現れ、そいつは声を発した。


『ゼルス様、ゼロ・オンラインをこれまでご利用頂きありがとうございました。そして、ゼロ・オンラインゲームクリアおめでとうこざいます。ユーザー数1万人のたった唯一のゲームクリア者であり、報酬としてゲーム学習能力MAXスキルを獲得されました。ですが、ゼロ・オンラインは今日を持ってサービスを終了します』


「そうだったな。楽しかったよ」


『ところで、ゲーム学習能力MAXスキルはどのようになさいますか?』 


「どうするって……ゲームはサービス終了するんだから破棄するよ」


『そのスキル……異世界で使ってみませんか?』


「どういうことだ……?」


『このゼロ・オンラインは確かにサービスが終了します。そして、このゲーム世界は異世界に一部を残したまま移行、構築されるのです』


「異世界? 何を言ってるんだ?」


『残念ながら、事実なのです。ご理解ください。この異世界には世界神樹を中心に出来ています。世界神樹の中心部にはダンジョンフィールド、外部には都市フィールドがあります。人々は異世界神という発生原因不明の魔物によって、日々苦しめられるでしょう。やがて、この異世界はこの異世界神によって滅びてしまうでしょう。つまり、大災厄が訪れるのです。そこで、どうか、最強のスキルを所有したゼルス様にこの大災厄から世界を、人々を救って欲しいのです』

 

「そんな話信じられるか」 


「付け加えさせて頂きますと、このゼロ・オンラインのゲーム世界はサービスが終了し、一部分のダンジョンは残りますが、新たな異世界が創り上げられます。そして、生命が誕生するのです」


「……何億年かかる話じゃないか……」


「本当です。たったの数分で異世界は創り上げられ、生命が誕生します。では嘘だと思って、世界へ行ってみませんか。数分後には自分がいる世界が夢から醒めた現実世界か異世界かはっきりするでしょうから」

 

 異世界転移……。

 世界を救う……。

 最近の流行りの奴……か。


「行ってみたい」


「では、行かせてあげましょう」


 黒い影は指をパチンッと鳴らした

 そして、空間が歪み、俺の視界は暗くなった。

 突然、賑やかな声と拍手が聞こえた。

 目を開けると、視界が上下に揺れ、そして、ベッドに横たわる栗色の髪の美女が頬笑みを向けた。


「生まれましたよ」


「ゼルス……」

 

「おぎゃぁぁおぎゃぁおぎゃぁ」 


 俺は一体……。

 ここはいったい。

 本当に俺は異世界に転移し、赤ん坊に転生したのか。

 俺は黒髪、赤い両眼の美少年に生まれた。

 生まれたての赤ん坊なので、視界がぼやける。

 そこは、白い、広い病室で、俺はベットの上にいた。 

 視界には矢印があった。

 その欄には ! 初期スキル と書かれていた。

 そこに、視線を移すと、


 【鑑定眼】レベル1を獲得しました。


 と音がした。

 視界には情報が張り巡らされている。

 どうやら様々な情報が知れるらしい。

 まず自分のステータスを見よう。


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