第19話急展開
「さて、話が通じる相手かな?」
団長はそういったが、謎の者に関しては、言葉を一切発しなかった。
「そもそも、あいつは、人間なのか…」
「団長!今はそんなことよりも、逃げることに専念しましょう。」
「ああ、ただ、絶対に目を離すなよ?」
団長は、勘だが、目を放してしまってはいけないと感じた。
しかし、人間には絶対に目を放してしまう瞬間がある。
その行為を一番最初にやったのは、敵から一番離れていたものだった。
「な!」
団長からすると、さっきまで何の反応もなかった敵が、いきなり高速で移動し始めたことに驚いた。
「大丈夫か?」
団長は、やられた隊員のもとに近寄ったが、どうやら、攻撃事態はそこまで強くなく、重症ではなかった。
「それにしても、早すぎるな。」
体の端が、半透明で、輪郭がはっきりしていない時点で普通の人間とは違うかもしれないとは思っていたが、まさか、ここまでスピード特化だとは思っていなかった。
「団長、どうしましょうか?」
「う~ん。正直、今回の隊の中で、さっきのあれが見えたものはいないだろう?」
そう聞くと、隊のみんなが申し訳なさそうに、下を向いた。
「おい!お前ら!目線を外すな!」
隊のみんなが下を向いた瞬間、圧倒的好機が訪れた敵の行動は早かった。
まず、残像が見えるようなスピードで、団長の横を通り抜け、下を向いた団員たちの前に立った。
そして、自身のパワーがないことも分かっているので、今度は、人間が、死にはしないが、それでも、弱点と呼ばれるような場所を攻撃し始め、弱点以外の場所も、攻撃をした。
それに、スピードに関しては、確実に、この敵がこの場所で一番である。
つまり、彼が何をしてきても、団員たちは、何もできないのだ。
ということで、スピードに自信のある彼は、団員らの同じ場所を何回も攻撃した。
いくら一撃一撃が弱かろうと、その攻撃がまったく同じ場所に、何回も行われれば、ダメージが蓄積され、重症になる。
そして、彼が元の位置に戻った後、彼の対韓からすると、少し経った後に、彼らは自分のダメージに気が付いた。
「うっ!」
「な、なんだこの痛みは…」
弱い攻撃を、同じ個所にやられたということで、一撃の威力は少ない。
つまり、後ろに飛んで、少しでも衝撃を和らげることができず、重い一撃を食らったような体感になっているのだ。
(今、少しだけ見えたな。)
団長はさっきの攻撃が少しだけ見えていた。
さすがに、自分の横を通り抜ける一瞬はわからなかったが、魔力を自身の周囲に展開することによって、背後の気配に関しても、ある程度分かるようにしていた。
その結果、自分の目では見ていないが、何となく、何が起きたのか分かったのだ。
(しかし、魔力で感じることができたとはいえ、一瞬過ぎないか?)
彼が、魔力で感じた情報では、敵が、一瞬で自分の背後に行っている情報と、攻撃している情報と、なぜか同じ場所に戻っている情報だった。
この同じ場所に戻っているという情報は、全員の弱点に攻撃し終わった後に、追撃をしようか悩んでいる状態のことだった。
(しかし、今の攻撃で、ほとんどの団員はやられた。
さすがに彼らを背負ったまま、このダンジョン…彼の前から逃げることは、無理だ。)
しかし、そんなことを考えていると、目の前に立っていた者がいきなり、方向転換して、ダンジョンのほうに帰っていった。
「は?」
団長は、今からどうしようかと本気で悩んでいる中で、そんなことが起きてしまったので、あほ面さらしてしまった。
「団長、それよりも、早く脱出を!」
「ああ、そうだな。」
とにかく、何が起こったのかはわからなかったが、それでも、脅威が去ったので、団長たちは、一旦ギルドのほうに帰ることにしたのだった。
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