この素晴らしい二人に日常を!

@sawanami

第1話:ある日のギルドにて

「だから信じてくれよ!あのお姉さんはジャイアントトードに食われてたのを偶然見つけて助けたんだよ!」

「別に疑ってるわけじゃないんですよ...?ただ、カズマさんがヌルヌルの女性を連れてきたので少し困惑してるだけで...」

 まったく、カズマはクズでどうしようもありませんが、気絶した巨乳の女性に間違いを起こすほどの度胸はないというのに。このままではカズマがかわいそうなので私も誤解を晴らしてあげましょう。


  事の発端は私の日課である爆裂散歩である。

「今日も最高の爆裂魔法を見せてあげましょう!今日も採点お願いしますよ!」

「お前よく飽きないな、ほんとこの世界はおかしなやつが多いな」

「おい、このタイミングで言うと私がそのおかしい奴らの一人のように聞こえるが説明を聞かせてもらおうじゃないか」

 私はめぐみん、私の隣を歩くカズマの冒険パーティーのメンバーであり、時間を共に過ごすうちに、いつの間にか私はカズマに恋をしていた。

「おいちょっと待て!謝るから首を絞めるのはやめろ!」

「まったく、はやくカズマも爆裂魔法を習得してください、そうすれば爆裂魔法の素晴らしさがきっと分かるでしょう」

「そんなネタ魔法覚えるわけないだろ...って待て待て!もう首を絞めるのはやめろ!」

カズマはなんだかんだ言って最後は私たちに手を差し伸べてくれるツンデレさんなのです。そんなところに惹かれたのでしょうか。爆裂魔法をネタ呼ばわりするところは見逃せないですが。

「なんか悲鳴が聞こえないか?」

突然カズマがそんなことを言い出す。

「...たしかに聞こえますね、カエルの平原からですね。見に行きましょう。」

この私にかかれば人助けなど朝飯前なのです!


 私たちが助けたころには悲鳴をあげていた女性はカエルに食べられながら気を失っていました。カズマはたわわな女性を背負って鼻息を荒くして、私はせっかくの爆裂日和なのに爆裂魔法を使わずに来た道を戻る始末です。

「本当なんですって!..そうだ、めぐみん、お前もなんとか言ってやってくれよ」

ギルド中の視線が私に集める。

「気を失ったヌルヌルなお姉さんを背負って時々胸の感触を確かめていましたが確かにその女性を助けていましたよ。」

「おいめぐみん!いや本当だけどさ...おいやめろ、俺は人助けをしたんだ!離せぇぇ!」

ギルドの店員から冒険者まで、老若男女関係なく数人がかりでカズマを取り押さえる。

爆裂魔法も撃てず、他の女に鼻息を荒くされてさすがに腹が立ったのでこれは今日のお返しです。


日が暮れてカズマはようやく皆の誤解を解いて帰ってきたようだ。

「まったく、お前のせいでひどい目にあったぞ。」

「あれは爆裂魔法を撃てなかったのでカズマへの仕返しです。」

「一日撃たなかったくらいでなんだよ、悪かったよ、明日は絶対連れてってやるからよ」

頬を膨らませる私にカズマはやれやれとため息をつく。

「しょうがないですね、許してあげましょう。その代わり明日こそは絶対ですよ?」

「わかったって、約束な」

カズマと小指を交わし、晩御飯の支度をするダクネスの手伝いに向かう。

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