第1話 それは世界が重なった日
枝分かれした
そしてその一番の被害を受けた世界とは──
2010年??月?日
日本、とある田舎町──
真新しい日本家屋の居間に異様な面々が揃っていた。
オレンジの髪、コックコート服の少年。紺色の燕尾服を着こなす二メートルはある
最後に女袴姿の少女、
「……という訳で、とある者の願いによって時空が歪んで集められた」
と黒い軍服姿のノインは表情一つ変えずにそう結論を出した。
精悍だがどこか作り物めいた顔に、短髪の赤毛。見た目は二十代前半。背丈は一七〇に届くかどうかといったころだ。やや筋肉質なのか軍服の上からでもわかる。
(また《山の神》ではないのか?)と紅の鎧武者は思った。
(どうせ《山の神》か面倒な神々のせいでしょう)と白銀の髪の偉丈夫、龍神と青い兎は思った。
「あー……。もしかして《山の神》さまのせいじゃ……」
憂鬱そうな顔で告げたのは女袴姿の少女、
「可能性はあるニャ。ひとまず、この条件を満たしてみるのはどうだろうかニャ?」
そういってモフモフなケット・シーは尾を振りながら小さな紙を差し出した。
*****
親愛なる方々へ。
諸事情によりこの世界に呼び出しました。どうか、この二つを満たしてもらえますでしょうか? そうすれば元の世界に戻れる──はずです。
・ノインと福寿のお使い。
・──の誕生日会。
*****
沈黙。
もうどこから突っ込んでいいのか分からないオレンジの髪の少年、
「んー。ひとまずノインと福寿に誕生日会に使うものを買ってきてもらって、誕生日のセッティングする係り、ケーキは……」
「あ、オレケーキなら得意ッス。ってか、職業ッスね」
そう言って挙手したのは、コックコート服を着こなすオレンジ髪の少年、孝太郎だった。
「そっか、孝太郎さんはパティシエか。橙夏ちゃんは……」
「わたしも料理得意です!」と、黒い髪の幼子はやる気満々で両手をぶんぶんと上下させる。
「わあ、その年で料理が出来るなんてすごいな。じゃあ、私は二人の手伝いと誕生日会のセッティングをするね」
「了解ッス」
「うん」
(姫はどんなところでも可愛らしいですね)と龍神は思い──
(橙夏は元気いっぱいで愛おしいですね)と青い兎は再確認し──
(はわわわ……。かーさまと再会できるなんて……)と龍神の娘、葵は感動をしていた。
(このメンバーで大丈夫だろうか)と式神でもある鎧武者は何となく一抹の不安を覚えてたのだった。
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