終末、この世の終わり。何らかの事情によってそんな言葉が間近に感じられた時、人々の心から希望と倫理は失われ、諦めにも似た倦怠感だけが全てを支配するようになるものです。そうなればただ粛々と人は役割をこなすだけの機械人形となってしまう。
そんな気怠さがこの作品の全篇に満ちています。
正に、今だからこそ生まれたダークファンタジーなのではないでしょうか。
世界に終焉が訪れる時、天使病の子どもは天使となり人々に救いをもたらすという。そんな伝承にすがる大人と、彼らに育てられる子どもたちの物語です。
成程、主人公の子が他者に興味が持てずとも無理はないでしょう。自身の将来にすら興味が抱けないのですから。それともそれはもしかして伝承通り天使の…?
教会の鐘が鳴り響く、重いファンタジーをお探しであれば是非!