影
心の中に居る間は「嘘」だけど
口から言葉を発した瞬間 それは「真実」になる
僕はそれをずっと繰り返してきた
「嘘」の波は幾重にも重なり
大きなうねりとなって押し寄せる
でも
器も小さく 重さも軽い 僕という舟は
大きなうねりに激しく揺り動かされても
決して沈むことはなかった
浜辺に向えば白い飛沫と共に粉々になるから
僕という舟はどんどん沖に向った
もう 後ろを振り向いても無駄だった
そして
前を向いても目標物はなかった
目を瞑っても闇
目を開けても漆黒の海
朝陽はいつ昇る
どの道
西に針路をとる僕の前方に希望の光は現れない
それでも
うねりにその身を大きく揺さぶられながらも
僕は 後方から現れる朝陽を待つ
このまま うねりで歪んだ水平線が目標でもいい
せめて 波間に浮かぶ僕の小さな影が見えればいい
僕が僕であることがわかる影があれば
それでいい
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