Hallelujah流星群




30何年前の 何とか彗星が接近した時は

月が見えるのもやっとの東京のビルの下の赤提灯で

おでんをつつきながらコップ酒を呑んでいた

あの娘に誘われはしたけど 本気にしてなかったし

わざわざそんな遠い星々を見るために

酒臭い満員電車になんて乗れない 

って決め込んでいたんだ



20何年前の 何とか流星群が接近した時は

真っ暗な田舎の 真っ暗な夜空を

そう 確か北の方角を独りで見ていたんだ

電車にも乗らなくてもよかったし 北に窓もあって 

あの娘を誘ったけど 本気にしてなかったし

瞬きしている間に消えていく光の筋を

毛布に包まりながら 数えたよ



数年前の12月は 頼んでもいないのに街中が星々だった

真っ暗じゃない田舎の 真っ暗じゃない夜の街で

葉が落ち切るのを待ちわびたかのように

数え切れないくらいの肌色の小さな電球が木々に付けられた

誰も誘わなかったし 誰にも誘われなかったから

独り 薄汚い車に乗って

自ら動いて それらを流星群にしたんだ



今年も12月がやってくる

星々が天に地に輝く12月がやってくる

誰と約束したって 何を約束したって

守られたためしがない12月が


今年もやってくる





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