“好き” の気持ち
それは
声無き声に振り向いて薄紅色の月を両の眼で見るが如く
燃料切れ間もないガスライターの小さき火を手を添えて大事に点けるが如く
遠く夜空に点滅する名も無い飛行機の無事を祈るが如く
それは
もやに霞む草原で無防備に舞う蝶を追いかけるのに似て
絵本の全てのページのどこかにひっそりと佇む天道虫を愛しむのに似て
己の鏡となり 彼方の鏡になりたいと願う気持ちに似て
果たして それは
美味しい酒をたらふく飲んだ後に
冷たいなんとかイオン水を一気に飲む喉越しにほっとするようなもので
アップルパイを食べた後に
パンプキンパイをつまみたくなるようなもので
カシオペア座の線を描いた後に
オリオン座の美しさに目を奪われてしまうようなもので
つまりは それは
感謝する気持ちと感謝されたい欲望のマッチレース
それは
同情と同乗の繰り返し
それは
想像と妄想の混同
そして それは
時々 その残像を瞬きと瞬きの間に垣間見ながら
ほんの わずかに のこる もの
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