ずっと空を見ていた

深くこもったような芯熱を

風がほどいていくような夕暮れに

ベランダに出てひとり

ずっと空を見ていた


流れて様々に形を変えていく雲

ゆっくりと色を変えていく空

まるで魔法のようで

魅入られたわたしは目が離せない


やり切れない行き場のない思いに

押しつぶされそうな時は

ベランダに出てひとり

ずっと空を見ている


為すすべは見つからず

疲れ果てた身体はただただ重くて

心のおりは溜まっていくばかりで

そんな時には救いを求めるように


空はいつでも、其処そこにあって

ただ、其処そこにあって

わたしは今、此処ここにいて

ただ、此処ここにいて


そして、空を見ている

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