ねんね毛布

小さい頃の寝る時に

いつでも側にあったもの

くたくたに柔らかく

握ると安心できた

ピンク色のそれを

ねんね毛布と呼んでいたっけ


あまりに触ってくるまりすぎて

何度も洗われ過ぎたから

すっかり擦り切れ、ねんね毛布

それでも寄り添い続けてくれた

どこまでも優しかった

身をすり減らす程に


あれはいつだったか

とうとう擦り切れ薄くなりすぎて

穴が空いて離された、ねんね毛布

泣いて泣いて泣き疲れた頃に

一人で眠れるようになって

いつか、わたしは忘れた


あんなに寄り添って

身をすり減らしてくれたものを

ずっと思い出さなかった


何度か洗濯を繰り返して

柔らかくクタクタになった

ピンクのタオルを畳んでいた時に

不意に思い出した、あの感触

ああ、毛布と呼んでいたけど

あれはピンクのバスタオルだった


ねんね毛布の感触を

わたしは思い出した

どうしても辛くなった時に

また思い出してもいいかな?

小さなわたしの優しいトモダチ

あなたの温もりと柔らかさを


胸の中に住む小さなわたしに

そっとねんね毛布を渡そう

心が風邪をひかないように

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