スルメに捧ぐ

ああ、キミは元々はイカと呼ばれていた

海を自由に往くものであった


ヤリイカ、ケンサキイカ、スルメイカ……

イカの身を切り開いて足と共に

乾燥させてできたキミ


長期保存に向き

水で戻して出汁をとったり

一緒に漬け込んだり料理法も色々ある


そして、火であぶってそのまま食べる

これがわたしは好きだ

酒の肴には勿論だが、お茶とも合う


よく咀嚼そしゃくしなければいけないのがまた良い

噛めば噛むほど味が出るので

ちびりちびりと、ずっと楽しめる


そしてキミにしみこんだ

海の味とその匂い


心の奥深いところから

噛み締める度に湧き上がる

全ての生まれいずる場所への思い


望郷ぼうきょう

スルメよ、キミはどこまでも


わたしの口中に広がる海に

スルメよ、キミを解き放とう


嗚呼、スルメよ!愛しきスルメ

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