嵐の夜に目が覚めて

風の音で目が覚めた。

叩きつける雨音の激しさ

カーテンを開けると

窓の向こうの暗闇に荒れる空が見えた


今、向こうとこっちは

一枚のガラスで隔てられていて

わたしは雨も風も受けずに

当たり前のように、こうして此処にいる



同じように、息が出来て自分で動けて

見えて聞こえて話せて

痛いことキツイことでも

我慢出来る範囲で済んでいて


全部が当たり前に与えられていた時は

当たり前に受け取って、考えもしなかった


お腹が空けばご飯が食べられることも

喉が乾けば水が飲めることも

大切な人達が側にいてくれることも

それがどれだけ特別なことだったか



いつか、わたしもあの嵐の只中ただなか

出ていかねばならない日が来るのだろう

その時、わたしは歩けるだろうか

道を探して往けるだろうか、恐れずに。


嵐の夜に目が覚めて

そんなことをずっと考えている

眠らなきゃいけないのに

ずっと、考えている


雨も風もまだ止みそうにない

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