4
空が青い。
気持ちの良い昼間。
そして
「佐藤様あああああああ」
うるさい山田。
「嫌い、あんた本当に嫌い」
「っくあああーお褒めのお言葉恐縮でっす!」
せっかく穏やかに過ごす昼間の喫煙室。やっと会社も落ち着きを取り戻したように見えたのに、またも問題が起きたというのか。
「せっかく紅……アツが嫁に来るのに。お前のせいで幸せな気分も半減だ」
「なんか…嫁って良い響きですよね」
「ん?」
山田の鼻の下が伸びている。
「そういえば風間さんとはうまく行ってるの?」
「ええっ?!聞きますううう?!
「いや、いい」
こうして惚気が始まる。うまく聞き流す。
しかし本当に驚いた。嫁と言えばアツ。
アツの情報を調べるにあたり、清美の経緯を調べていくと、出るわ出るわと心臓が止まるほどの情報がわんさか出てきた。
「これは……」
当初は、なぜこんな情報が反対の意味として網羅しているのかと不思議だった。なぜ清美が浮気の常習犯になっているのか。そして何故か付き合っているアツと前の旦那。
これはやばいと思いながらも、いざ二人が一緒にいる姿をお店で見たときに「言わない方がいい」と判断したのは忘れない。
だが、清美は違った。
清美は変わったと思った。だが「事情が違う」と一蹴し、まだヨリをも戻すことをあきらめていないようだった。そして、またしてもアツに重くのしかかる。
このままじゃいけない。そう思った。この事実が分かったとき、話すべきじゃないと思いながらもアツのお母さんと元旦那のお母さんにはすべてを話した。
だからこそ、こうなっている。
「佐藤さんは恋のキューピットですねえ」
と、山田に言われるが私はそうではない。本当の清美を知っていたからこそ、庇ってしまったためにアツが知らなくてもいいことを知らせてしまった。結果的に坂崎さんが遠回しにつたえてくれたために、アツは私から知ることはなかった。
そして、この真実をもう一人に伝えた。それが愚弟だった。
アツが結婚式の内覧に行くことは知っていた為、この事実を知ってすぐに飛び出そうとした愚弟を止めた。アツの事情を知らせたことに憤りを覚えた愚弟を何とか落ち着かせ、最後の賭けと、翌日の内覧に行く結婚式場の場所を知らせた。
その結果、愚弟はアツを迎えることができたのである。
「だけど……」
「何スカ?」
「まさか元旦那がうちの子会社で働いていたなんて知らなかったな」
私の疑問は、まだ解決していない
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