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「あの二人付き合ってるのかなあ?」

「…さあ」

「でも、確実に私たちを“陥れようと”しているのは間違いないよね」

「…」

「あの事かな」

「…そもそもたった一人蹴落としたぐらいで降格人事になることはあり得ないだろ」

「だといいんだけど」



更衣室の出口にあるベンチに座り、二人は何を思い、何を感じるのだろう。



「でも、あの時」

「まあ、すべて押し付けたってのもあるが、そもそもあれは“俺たちが発案したこと”じゃない」

「まあ…そうだけど」

「それに、部長が絡んでいるのも気になる」

「…」



黒田は焦っていた。自分の地位が危ぶまれること、そしてかつてのライバルがまた戻ってくるんじゃないかと。



「…あいつに直接聞いてみるか」

「今どこにいるか知ってるの?」

「ああ。……この前ちょっと出かけてた時に、知り合いの知り合いと、あいつが一緒に仲良く歩いているところをみたんだわ」

「知り合いの知り合いの人?」

「そ。その人が、どうもあいつの地元の人間らしくて。その後たまたま研修に行った帰りにコンビニに立ち寄ったら、そのコンビニで偶然会っちまったんだわ」

「えっ?」

「声かけたら、顔真っ青にしてさ。そのまま問い詰めてやろうかと思ったら早々に逃げていきやがった」

「なんでそんな大事なこと…」

「いや、今日のことが起きるまで、そこまでマークはしてなかったというか」



滝沢は焦る。そして黒田は組んだ手を自身のあごにあてて、考え込む。



「…とにかく、本人に確認してみるか」

「え?何を」

「決まってるだろ。戻ってくるのか、俺らを陥れようとしてるのか」

「でも…」

「これだけ俺らの周りが動いてるんだ。ただ事じゃない。それにあの営業部の佐藤さんも風間と接触があるのは知ってる。あの山田ってやつと風間は繋がってるとみて間違いない」

「…」

「お前も怪しいんだぞ。解雇とまではいかないが、下手したら昇格なしで鎮職のままずっと働くことになるぞ」

「それは…嫌」

「なら、決まりだ。一度あいつに会って、どんな状況かを確認するだけでも収穫は大きいと思う」



二人は立ち上がり、神妙な面持ちで会社を後にした。





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