ヤンデレ年上幼馴染SS

渚雅 探瑠

読み切りヤンデレ年上幼馴染

僕には2つ年上の幼馴染のお姉さんがいる

物心つく時から居て毎日と言っていいほど遊んでいた。

必ずする遊びがかくれんぼだ。お姉さんは必ず僕のことを見つけてくれる

「みいつけた」

と言っては必ずハグしてくれる。

どうやら「捕まえた」という意味らしい。

でも僕が鬼をやったことが1度もない、ずっとお姉ちゃんが鬼なのだ。

毎回僕が隠れてお姉ちゃんが鬼になる。

お姉ちゃんが10数えてる間に僕が隠れてそれをお姉ちゃんが見つけてくれる。

まるでどこに隠れているのか分かるようにお姉ちゃんが僕の方へ迷うことなく見つけてくれる。



月日は流れ俺も高校生、中学高校と上がり沢山の友人と付き合いながら毎日過ごしていた。

「今日もご飯作りに行くね」

相変わらず姉ちゃんも家族ぐるみの付き合いで家に遊びに来る

「今日は何食べたい?」

毎日姉ちゃんは俺の好きな物を作ってくれる。両親が共働きで帰りの遅い俺にとっては助かっている……

だが………

「今日買い食いしてたでしょ?だからさっぱりしたもの作るね」

突然の姉ちゃんの発言に凍りつく

確かに今日帰りに買い食いはした。だがそれはクラスメイトとだ……。

「そういえばテスト勉強進んでる?駄目だよ?昨日ゲームセンター行ってたでしょ?進路に関わるんだから勉強しないと」

確かにゲームセンターにも行った。でもそれは姉ちゃんには伝えていない。

「そうだ!!今日はお腹あんまり空かないからご飯作りに来なくてもいいよ!!姉ちゃん受験生だし大変でしょ?」

何か妙な予感を感じとって慌てて姉ちゃんと距離を取る……

「そう………」

少し寂しそうなトーンで姉ちゃんの声が耳を過ぎる。

「ごめん……」

思わず謝ってしまう……

何しろはじめて姉ちゃんに嘘をついてしまったから

「大丈夫だよ………そう……だいじょうぶ……」

姉ちゃんは少し暗い笑顔を浮かべながら呟いた……。

僕の家に行くまでそこから先なにも言葉は交わせなかった。



「結局今日も言えなかっな………」

ベットに転がり天井とにらめっこ

本来であれば言わなければいけないことなのだが今日の姉ちゃんの空気があまりに異様で余計に言い出せなかった……

例えるなら幼い頃の隠れんぼの見つかるまでの緊迫感に似ている。


………。


………………。


…………………。


…………………………ふとカーテンの閉ざされた窓越しに視線を感じる…………。


自分の部屋は2階………………だが、誰かに見られているような異様な感覚が絡みついてくる………。

気になってしまう………。

一歩………。


また1歩…………。


視線の根源に近ずいて行く…………。


ついに窓の目の前に立ってしまった…………。


カーテンを手につかみ…………。



プルルルルルプルルルルルプルルルルル


着信音に驚く………。

思わず尻もちを着いてしまう。

同時に変な視線の感覚も無くなってしまう………。


スマホのモニターにはクラスメイトの女子の名前が表示されている。


姉ちゃんには言い出せなかった用事の相手だ……。


「じゃあ今日の夜9時駅前で……。」


場所と時間の確認をして電話を切る。


再びベットに倒れ込む。


ふと先程の窓が視線に入る



ピロンピロン


今度はSNSのメッセージ通知だ。


差出人は姉ちゃんから


「やっぱり今日ご飯作りに行こうか?」

「遠慮しなくていいんだよ?」


タイミングがタイミングで再び背筋が震える


「大丈夫だよ」


一言だけ返信


「そう」

「勉強は進んでる?」

「わからない問題ない?」


家に来る口実を作りたいのだろう。


「学校でちゃんと勉強やってるから大丈夫だよ」


事実を送る


「これから出かけたりする?」


そのメッセージを見て携帯を持つ手が震えた…………。


咄嗟に


「姉ちゃんには関係ないだろ!!」


と送ってしまった………。


恐怖を振り切るためとはいえ、それは間接的にYESと言ってるものじゃないか………。


しかし送信したメッセージには既読がつかない………。


……………1分


……………………2分


…………………………3分


沈黙しながら携帯を見続けるが返信どころか既読がつかない…………。


耐えられなくなり、携帯を持って家を飛び出す。


窓の外でなにが起きてるかも気づかずに…………。





とにかく家にいてはいけないと感じて街にでてきた。見たい気持ちと見たくない気持ちと格闘しながら恐る恐るポケットから携帯を取り出す……




「ごめんね………」



一言だけそのメッセージが画面に刻まれていた。


その画面を見て俺は崩れ落ちる………。


喉の乾き、やっと心臓の音も落ち着いた鼓動に戻る………。



約束の時間まであと1時間どこかでぶらつきながら時間を潰そう……。




自動販売機で飲み物を買い、駅に向かうまでの道でコンビニに入ったり、偶然会った友人と話したり、スマホのアプリで暇を潰したりしていると、駅に着いた。広場の時計を見ると8:55分あと5分で時計の針が9の位置に到着する。


                   「駅に着いたよ」


待ち合わせの相手にメッセージを送る……。


だが既読がつかない………。


向こうも待ち合わせ場所に向かっていてもおかしくないはずなのに………。


その時先程の「ごめんね……」の下にメッセージが追加される


                 「その子ならもう来ないよ」


同時にその子に送ったメッセージに既読がつく


                   プルルルルルプルルルルル


………再び着信音…………。



………5回目の着信音



………7回目の着信音


………10回目の着信音で


電話に出る


                       「………もしもし」



恐る恐る通話ボタンを押し言葉を発する


同時に背後に視線を感じ振り返ると………




そこには携帯を2台持った姉ちゃんが立っていた………。









        


………………………「みィつけたァ」

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