私の勇気は。

はぅる

第1話

第7次魔法大戦




それは私たちの国に大きな影響を与えた。

木々が生い茂り、生き生きと生い茂っていた植物たちは魔法や魔法を使った兵器のせいで枯れ果て、水は干からび、いっときは生きる事でさえも地獄だとも言われていた時期があった。

それぐらい激しい大戦で私や家族、この国のみんなが、後に残るような怪我をいくつも受けた。

だが、その辛い記憶より鮮明で鮮やかな、そしてわたしの今の生きる意味にもなる出来事があった。

「おいっ!他に連絡が付いていないものは居るか!」

「おが〜〜ざぁ〜〜ん!!!!ひぐっおが〜〜ざ〜〜ん!!」

「あそこの子供は!」

「私が行きます!」

「何人か連れて行けよ!」

「ヒーリングボールをそちらの方に!あちらの方にはポーションを!」

私はそんな状態を意識がはっきりとしていない中、家の瓦礫の下で聞いていた。

当時の私は自分で何もかもが出来ると思っていた時期だった。それが凶と出てしまったと私は自覚した。私はこの時別に死んでも構わないと思っていた。足はたぶんもう動かない事は自分で自覚していた。私の目の前にある血だらけの自分の腕も周りの瓦礫が少しでも動けば無くなるだろう。


いや、私は死んでも構わないと言ったが、やはり怖い。若干16歳での死は恐ろしい。だが、もう死ぬしか道は無かったのだ。だから先ほど言った事は嘘になるが、こうするしか無かったのだ。

私の居る所は目が付きにくい場所なので恐らく助けは来ないだろう。

お母さんたちはみんなたぶん無事だと思う。私だけが倉庫に来ていたのだから。

親は助けに来れないだろう。

私はすぐ近くで怪我人を探していても、何故か私に気づかない軍人さんを少し恨んだ。どうして私はここに居るのに助けてもらえないんだろうかと。



そして私は気づいた。あの軍人さんはもしかしたら私の幻覚かも知れないと。私の命はもう少なく見えてはいけないものが見えているのかもしれないと。そう私が納得し、目をつぶろうとした瞬間、光が少し差し込んできた。

「おい!ここにも一人幼い子が倒れているぞ!」

私は16歳なので幼くはないと思っていたが、よく幼い顔だと親から言われたな、なんてどうでもいい事を考えながら助けに来てくれた軍人さんに向かって叫んだ。

「ぐん、…さん… あ、しがたす、けて…さい。」

想像していた以上に声が出なくなっていた。水分不足というものか。

「よし待ってろよ嬢ちゃん!人を呼んでくるからよ!

おい!誰かいねぇのか!?ここに一人嬢ちゃんがいる!なるべ若ぇ方がいい!」

軍人さんの辺りには誰かが居るみたいだ。とぼうっと考えて居ると、足が突然軽くなった。

「嬢ちゃん、取り敢えず足だけは俺だけの力で楽にさせてあげれるからな…

そこから上はもうちょっと待ってろ。一人だけ来てくれると念話があった。

もうちょっと頑張ってくれよ!」

足が軽くなり、ちょっと出け息苦しさが無くなり、もう少しだけ息と声が出せるようになった。

「おじさん……ありが ぅ……たす、け、くれ、ぇ」

「無理に声を出すんじゃない嬢ちゃん。お礼は嬢ちゃんがちゃんと無事に助かってからだ。さぁ、胴体の瓦礫は…よっこら、ん!っと、やっぱり無理か!俺に魔法が使えればなぁ……すまんな嬢ちゃん。俺があれば良かったんだがな。」

「い…え。だいじ、ぶ。わた、もつか、えなぃ。」

「何かと困るよな。魔法が使えないと。って助けねぇといけない嬢ちゃんに文句を言っても仕方がなかったな。助かったらおっちゃんの愚痴を聞いてほしいくらいだぜ。」

そうこの世の中は魔法で溢れて居る。回復にはポーションや回復魔法。物を取る時は引き寄せる魔法、様々あるが今、この国での魔法の使う手段は回復、攻撃系の魔法の選択肢しか無いのだ。魔法を使う事が許されない歳の私たちのような未成年や、上の2つの属性に対応していないの人が困る状態なのは当たり前で、持っていない人は物理的に刃物や鈍器で殴るしか無かったのだ。

魔法が使えない人は5歳〜60代まで皆んなが武器を作らされていて、いくらお腹が減っても、喉が渇いても飲食は決められた時間でしか出来なかった。そんな中私も未成年で魔法が使えないので働かされていた。お母さんたちは魔法を持っているが戦争とは関係ない魔法という事で私と同じところで働かせられていた。

そして先程話したように倉庫へ一人で武器を作るための道具を取りにいっていたら、こんな状態になってしまったのだ。

あの時の軽い気持ちと私の行動は後から後悔することになる事は知らなかった。

突然の鳴り響く敵国からの攻撃の鐘、遠くから聞こえる爆撃の音、外で響いた誰のかわからない叫び。

それが私の瓦礫の下敷きになる前のハッキリとした記憶だった。


軍人さんは私に「頑張れ、諦めるなよ!」っと声をかけながら必死にどけれるような物をどかしてくれていた。

私は心の中で感謝を続けていた。

すると、「エドックさん!!連れて来ました!!」

っと言う声が聞こえた。

その瞬間私の体は私を潰していたはずだった瓦礫の上にいたのだ。

「え……?」

「ありがとうよ!ナバト!!

これでこの嬢ちゃんを助けれた。運べるやつは!」

軍人さんにナバトと呼ばれる私とそれほど変わらない少年……?は

「既にその魔法使いも呼んでおります。」

「助かったぜ!!本当にありがとよ。

おかげでこの嬢ちゃんを安全な所へ連れて行ける。

じゃあ嬢ちゃん!頑張って生きろよ!!」

その言葉に返事を伝える前に私はーーー












飛ばされた。

場所は医務室のような所だった。

すると

「大丈夫ですか!

今すぐ治療を致します!そのまま寝ておいてください!」

っと看護師さんに治療をしてもらっていた。

その間もずっと軍人さんに言い残したお礼の事を気がかりにしていた。













ーーあれから4年


あの何も残さなかった無残な戦争は終わった。

どちらが勝ったと言うわけではない。

どちらも負かされたのだ。

この戦争は私たちの国、戦っていた隣国、

どの国をも弱らせ、新たな国を立ち上げるためのクーデターだったのだ。

その新たな国が出来たことにより、今ある領土が取られる危険があり、お互いの国が戦争を終わらせるしか無かったのだ。

そんな戦争が終わり、私も怪我は残っているものの回復し、ついに魔法が使えるようになった。

そして私の魔法は


「人を探す」魔法だった。


たぶん4年前の軍人さんに言い残した言葉が今でも心の中で後悔として残っているからだろう。

だから私はこの魔法を神様から授かったのだと思う。

魔法は使い手の1番後悔している事を解決する為にあると学校であれから学んだからだ。


そして私は軍人さんにお礼を言うために旅に出ることにきめた。

荷物は4年間必死にあれから働き、貯めたお金や旅に必要な最低限の道具。それだけだった。
















そんな私の後悔を消すためだけの旅の話をしようと思う。

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