第4話
みやふきんさんは故郷の街に初雪が降ったという日 、コンクリート造のコーヒーショップで決定的にすれ違った話をしてください。
#さみしいなにかをかく
https://shindanmaker.com/595943
父が倒れたので久しぶりに帰省したその日に、初雪が降った。山の上にはすでに雪冠があって、気候の違いを実感した。病院からの帰り、車で通りがかったコンクリート造のお洒落なカフェは最近建てられたばかりらしく、母に勧められて入ることにした。
わざわざこんなお店で話すことはなかったのに、やっぱり母は言わざるを得ないのだ。「こっちに帰って来ないの?」
進学のために上京して、そのまま帰らなかったことをいつまでも責め続けられるのだろう。父が倒れた今、家業の医院を継いでほしい想いは明らかで、一般的にそうした方が良いことはわかっていた。帰って来てほしいと言わずに、そうしないのかと訊くあざとさが、一層頑なにさせることに、母はきっと気づきはしない。もう二度とこのカフェに来ることもないだろう。
「帰るよ。東京に」
罵る声は遠ざかって、もう取り返しがつかないほど、故郷からは遠くなることがはっきりした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます