シスコン少年と百合少女の恋模様(仮
日ノ本 ナカ
第1話
夕日に照らされる一本の大きな桜の木の下で、律儀に立っている一人の男子生徒がいた。
ネクタイの色は赤で、私より一つ上の学年だと一目見れば分かる。
彼は、所謂フツメンである。
決してイケメンでは無いが、ブサイクでも無い。至って平凡な顔である。
勿論、運動や学業なので一躍有名になったこともない。
顔もフツメン、飛び抜け秀でた才能も無い。
そんなフツメンの先輩をここに呼びだしたのは、他でもない私である。
私は、意を決して、前へと進んだ。
制服のスカートには、私の手による皺が出来ている。
ああ、後で、お母さんに怒られかな、、、って、そんな事を考えてる場合じゃないわ!
勇気を振り絞って、ここに先輩をお呼び立てしたんだから、しっかりしないと!
そして、先輩の目の前に到着した。
先輩の手には、私が今朝、先輩の下駄箱に入れてた手紙があった。
「先輩、私、貴方のことが好きです!付き合って下さい!」
「え、ゴメン。僕、二次にしか興味無いんだ」
へ?ええええええ!?
▽▲▽▲▽▲▽
私の名前は、佐藤 《さとう》
そんな、私も、晴れて高校一年生。
っと言っても、私の学校は中高大一貫校のエヘレベータ式である。
なので、あまり受験を気にしなくて良いのが売りなんだよね。
まあ、何気にすごく楽だよね。
まあそんな事は、どうでも良いんだけど、私が何故、冒頭で告白シーンなんてものやってしまったかって言うと、去年の終わり頃に一目惚れしたからです!
まあ、冒頭で言った通り、フツメンである先輩を好きになる理由なんて、誰にも分からないでしょう!
それでは語ってしんぜよう!
それは、近所の某大型書店での出来事でした。
私は、その、自分で言うのも、アレなんだけど、その、オタクなんだよね。
だから、その日も、漫画やライトノベルを物色していました。
一般的に、女子は薔薇よりに行きがちですが!私はあえて!百合に行かせてもらいます!
「ズルゆり」「citron」「やがて貴女になる」「館梅荘とらいangle」等々、少々同士の組んず解れつが最高で!
後は後は、、って、私の趣味の話じゃありませんでした。
私は、そういった作品にたまに出てくる小説を読んだりもしているんです。
例えば、「オレがいる」(正式名称は長いので略してます)出てくる、太宰 治の『人間失格』や「神様のタウンワーク」に出てくるジェイムズ・ティプトリー・Jrの小説も読んだりしています!
それに、聖地巡礼なんかもしています!
二次元と三次元との繋がりある所に、胸が惹かれるオタク心は皆さんにもわかりますよね!ね!
って、また脱線していましまた!
えーと、それで、私は、とある作品現れた作品を探して、一般文芸の本棚を漁っていると、件の先輩にあったのです。
最初は、理知的な人だなって思っていたんですけど、その人が手に取った本が、私の求めていた本だったのです!
私が、先輩の手に取った本を見ていと、先輩チラッと私の方に視線を向けて、また本に視線を注いだ。
「はぁ」
先輩は、ため息一つつくと本を私に渡してくれたのです!
この時で、私の心はトキメキかけていました。
そこ!単純て呼ばない下さい!私はチョロくありせん!
「君、この本が欲しいんでしょ?譲るよ。他の書店僕は探すからさ」
そう言って、去って行こうとしたので、思わず私は先輩の鞄を掴んでしまいました。
「あっ、あの、もしよかったら、回し読みしますか?」
つい、そんな言葉が出てしまってました。
先輩は、振り向くと不思議そうな顔をしていましたが、これから次の書店で探すより、私と回し読みした方が楽だと思ったのか頷いてくれました。
それから、その小説について話す事がありまして、
「えと、その、ニワカですみませんが、私実は、最近読んだラノベにこの小説が載っていたので気になっただけなんです。なので、その、この作品が好きなのでしたら、私は後からでも構いませんので」
「それって、『私の友達が世間を騒がせてる怪盗だった件』って作品じゃない?」
「ええ!?なんでその作品を!?もしかして知ってるんですか!?」
「うん。だって、それさっき見終わったばっかだし。ホラ」
そう言って、先輩は学校指定のスクールバックから、一冊の本を取り出した。透明なブックカバーをかけているだけなので、中の表紙イラストが丸分かりである。
ちなみに、『友怪』のイラストは百合作品であるので、少女が勿論描かれている。それに大人の客層に合わせてか、エッチなイラストでもあるのです。
さて、問題です。少女のエッチなイラストの表紙を透明なブックカバーで取り出した先輩。当然イラストは見えています。この状況をどう説明すればいいでしょう?
「って、貴方正気ですか!?そのイラストの本を堂々と見せびらかすなんて!?それでは、他の人にも『私はオタクです』って言ってるようなもんじゃないですか!?」
「ん?別にそうだけど。別に、僕隠してるわけでもないし。
それに、この小説が他人に馬鹿にされるような作品じゃないって胸を張って言える作品なんだ。それを誤魔化すを方が作者にとって失礼だろ?」
その言葉で、私はノックアウトしてしまいました。
何てイケメンセリフなんでしょう!?
私には、先輩の顔の周りには薔薇が咲いているように見えるほどです!
なんで、こんなカッコいい先輩をジャニーズに誰もスカウトしないんですか!
という感じに、完璧に完全に恋に落ちたのです。
そのあと、RheinやツッターのSNSを交換したりしました。
お互いにオタクコンテツについて語りあったり色々と満喫した日々を送っていました。
なので、友達という殻を二人で破ろうっていう覚悟胸に、高校一年生にジョブチェンジして直ぐに告白したのですが、会えなくて撃沈しました。
「そりゃあ、残念だったね」
私の目の前には、制服の上にファスナー付きのパカーを羽織り、眠そうな目で私を見る女子生徒がいます。
私の数少なーー先鋭の友達です!私レベルになると、多くの友達は要らない的な、何かがあるんです!だから、そんな寂しい目を向けないで下さい!
彼女の名前は、
なんと、なんと!彼女こそ『友怪』の作者なんです!ペンネームは「笹かま」です!なんて、やる気の無い感じでしょうか!
ですが、内容はすごく面白いんですよねー、彼女の作品。
ちなみに、私と先輩の運命の出会いである、あの小説は、彼女少しパラ見しただけの作品だったと後になって知りました。
確かに、二巻もでているのに、最初の方でチラッとでただけで、その後一切出でいませんでした。
彼女容姿は、同性である私ですら、美少女に見えるほど整った顔立ちをしています。目鼻立ちがスッとしていてとても綺麗です。
なのに、残念ながら、彼女は前髪で表情を隠してしまっているのです。隠れ美少女って感じですね。
凹凸のはっきりした、プロポーションなのがコンプレックスらしくいつも猫背である。
背筋を伸ばして、前髪を切れば美少女なのになー。
百合大好きな私ですから、美少女とはかなりの大好物でもあるので、是非とも、見たい所存あります!っと前に言ったのですが、フードを目深く被り直されました。おかしいですね?
「そうなんですよ!これはいけるって思ったのに!」
「いや、アヤの話聞く限り、友達以上はないでしょ?逆に、何でいけるって思ったの?」
「え?だって、話が合うでしょう?」
「いや何で、そんな『何で当たり前の話し聞くの?』みたいな顔でこっち見ないでよ。
逆に何で、それでいけるって確信したのか、皆目見当もつかないよ」
「カエデったら、たまに訳の分からない事言うよね?」
私がそう言うと、彼女は、自身のこめかみに指を当て強く揉んでいた。
何で今、『はぁ』みたいなため息つかれたの!?
「これは、その思いを告げられた本人が可哀想だな」
★☆★☆★☆
えーと、何で、僕あのガチ百合勢の人に告白されたんだろう。
最初は、オタク同士仲良くなったんだけど、どんどん、彼女の百合百合しい会話を聞きドン引きしていた。
あっ、ちなみに僕の名前は、大笹
僕の事を一言で言い表すと、活字中毒者です。
自他共に認める本の虫です。
顔は期待的観測を含めフツメンであって欲しいです。友達はまあまあいる方だと思います。
勿論、僕には百合属性はありません。僕は妹属性です。
シスターコンプレックス。シスコン。等々言われているものです。
内の妹はすっごく可愛いんですよ!
いつもフード被ってるですけど、ふとした拍子にフードが脱げた時の表情と言ったら、小説一冊分語れるくらいにあります。
あの時だって、妹が書いた『友怪』に出できた小説を探しにでただけなんだ。
そう、僕の妹は大笹 楓。百合属性少女の友達なのである。
だから、僕としては、百合属性の彼女は危険人物であって、恋愛対象じゃ無いのだ。
ちなみに、告白された時に「二次元にしか興味無い」って言うのは、シスコンって言うのを他人に言われるのがすごく嫌だからです。
見ず知らずの人にいきなり指差しされて、「やい、シスコン」って言われるの嫌じゃないですか?
オタクって、言われるのは、別にいいんですけどね。
だって、オタクって日本では兎も角、外国では、かなり喜ばれますからね(一部本人の偏見に基づいています)。
まあ、そんな訳で、僕がシスコンだって言うのは誰にも秘密なんです!
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