エピローグ

ひとり近隣では知られた少年がいた。

彼はどことなく大人びているが、そのことは大した耳目を引くことはなかった。

彼が知られるようになったのは、女を四人も侍らせていることだった。

いつからかは分からないが、ひとり、またひとりと増え、今では四人、しかも四六時中侍らせていれば、噂にもなろうというものだ。

怪しげな事情があるのでは、と噂は吹いたが、女達のあまりに幸せそうな姿を見てそれを追求できる者はなかった。


だが、そのような事実はどの世界にも記録されず、観測されたこともなかった。


それは神々も知らない、存在さえしない事実であった。

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