葉月 涼

一人語り

あの日と同じ様な雨が今日も静かに降っていた...



その日は、高校卒業の日


それまで俺は、ある1人のクラスメイトに恋をしていた

けれど、その人に振り向いて欲しくてからかってしまった。


それが悪かったのかもしれない...いや、それが原因で告白をしたけれど失敗したんだ


クラスメイト達と別れ1人帰途についた

しばらくして雨が降り始めた

その雨は、春になったはずなのに冷たかった


まるで、俺があの子にしてしまった罪に対する罰の様だと思った

俺は、その場に立ち止まり空を見上げ

降り始めた雨に打たれた


どれぐらいそうしていただろうか、気づけば雨はやみ

学生服が雨を吸い重くなっていた

風が吹き

それを寒く感じた


再び歩みだした


頬に暖かな何かが流れている様に感じ触れてみると

それは涙だった


あぁ、俺は、泣いていたのか

俺の犯した罪に泣いていたのか

それとも....


家に着く頃には星が輝く夜になっていた

俺は、星空を見上げ


「俺もあいつの光になりたかったんだ...」


そう消えそうな声で呟いた...

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葉月 涼 @kiminokoe

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