貴方に捧ぐ

@aikonism

プロローグ





これは、私が彼を愛した記録。

これは、彼しか愛せなかった私の記録。



春が来ると、切なく舞う桜に胸が痛み、

夏が来れば、彼の好きな夕焼けが輝く。

秋になると、甘い時間を彩る虫の音がよみがえり、

冬になれば、心まで凍てついたあの夜を思い出す。



燃えるような愛だった。

苦しく愛しく甘く切なく、多くの月日を跨いだ思いは、

迷いも苦しみも重たく含んだ。



それでも、

私は彼しか見ていなかった。

彼以外いらなかった。



欲しいものはいつだって、彼の想いだった。

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