第30話 *冬のうた*
サクッ サクッ
学校へ行こうと庭に出ると
足もとで微かな音がする
心地よい霜柱の音
踏んじゃってごめんね そう思いながら
その密かな音を聞きたくて
ついつい夢中になってしまう
学校の校庭で手を広げると
緑色から茶色になったカサカサの葉が
あたしの手の中にゆっくりと落ちてくる
あたしの手のひらの中で 葉っぱはこすれて音をさせ
葉脈だけになった葉を空にかざせば
細い隙間から見える 少し翳ったおひさま
何気ない葉っぱだけれど あたしに
「冬が来るよ」って教えてくれる
マフラーをぐるぐるに巻いて
寒くないようにしていても
あたしの首筋を ふわんと風がくすぐっていく
冷たさの中に 小さな囁きが聞こえ
マフラーを巻きなおしながらも
ちょっとだけハミングしたくなったりする
いたずらな風はあたしに
「冬の歌」を教えてくれる
空も風もおひさまも
葉っぱも霜柱もちらちらの雪も
透明で見えないけれど あたしは感じる
それらの中に こっそりと「歌」が聞こえること
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