第29話 *みすずさん*

*みすずさん*


あたしがみすずさんと出会ったのは

いつだったか覚えてもいない子供の頃

国語の教科書の中でした


みすずさんの言葉に触れた瞬間

あたしには その小さな言葉の数々が

きらきらと輝き 特別で崇高なものに見えました


生きている時代

生きてきた年月

まわりの環境は大きく違うけれど


おそらくその頃と変わってはいない空を 降ってくる雪を

おやつの取り合いや 兄弟とのやり取り 些細な出来事

それらを意外な視点で 優しい感性で描く その素晴しさ


みすずさんの「それ」は磨かれたものではなく

感じるままの言葉なのだということが

あたしには衝撃で 大きな感銘を受けました


みすずさんに直接会うことは叶わないけれど

あなたの言葉に触れるたび

あなたが描くような言葉を紡げるようになりたい と

大人になった今でも あたしの中の魂が疼くのです


みすずさん

あたし あなたに会いに行こうと思うのです

直接会うことは叶わないけれど

あなたの資料館があると聞きました


みすずさん

あなたに会えたなら

あたしの中の魂も 少しくらい 

みすずさんの魂に寄り添えるでしょうか?


あたしの原点であるあなたに会うことを

あたし 本当に心から楽しみにしています



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