第8話 戀文

我に問ふ 書に秘められたる 

戀を知ったのはいつからか


連なれる文字は その時々で異なれど

思い溢るる その文字の美しきこと 

文字に隠さるる 真実と嘘


深い底に眠る文字 絡み合う思い 

せつなくも胸に迫り 

悲しくも 嬉しくも 美しくも 醜くも

いかようにも変化を遂げん


紐解かれる 謎に触れる 

心(なか)に溶け込む

得も言われぬ高揚 ただならぬ喪失 

触れた指先の震え  

一滴 頬を伝う


願わくば いつの日か 

誰(た)れかを虜にすべく

戀文が描けんことを 


日々夢見る

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