第7話 宵待ち
眠れない夜
わたしはベランダで 星を眺める
空は広く なめらかな黒の中で 星がその光を瞬かせ
わたしが小さいことを知らしめる
りりりりり りりりりり
わたしより ずっと小さな 虫たちの声
さわわわわ さわわわわ
見えないけれど 風に揺れている 脈々とした葉音
どこかで子供の泣き声がする
怖い夢でも見た?
静けさの中 家々の灯りも消えてゆき
あたりは さらに静けさを増し 黒の空気漂う
夜は黒く 何もかもが見えにくいけれど
わたしが聴きたい音は よく聞こえ
静かな時間を ひとり 楽しむ
ほどよく時間が過ぎてゆき
わたしの左手が ほんの少しほわりとなり
次第にその手に温かみを感じ始める
ゆっくりと変わってゆく 空
眠れない夜を 幾度も過ごしてきたけれど
同じ夜はない
同じ音も 同じ風も 同じ色も
わたしは その違いを見たいから
眠れない夜は ベランダにいる
真っ黒の 猫と一緒に
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