飛び出すチサちゃん
ボクは、ゴーレムの圧迫攻撃を両腕で防いだ。手の平同士に挟まれて、動けない。
「さっきまでの威勢は、どうしたのかな? 結局、攻撃手段なんてないじゃん!」
オンコが勝ち誇る。
たしかに、蹴りを繰り出そうにも足も届かない。
しかし、ボクは一人じゃないんだ。
「チサちゃん!」
ボクは、融合による変身を解除した。
チサちゃんが、ゴーレムの前に飛び出す。
「なにい!?」
オンコが驚愕の表情を見せた。ボクを拘束する腕を解き、チサちゃんに反応する。
だが、チサちゃんの火球がゴーレムのノドに命中するのが早かった。
チサちゃんのファイアーボールを浴びて、ゴーレムの首部分が爆裂する。
「わあああ!」
ゴーレムの頭が吹っ飛び、乗っていたオンコまで地面に落下した。
のけぞった状態のゴーレムが、そのまま後ろへ倒れ込む。
身体を覆っていた鉄のヨロイが、剥がれ落ちていった。
ヨロイと操縦席をつないでいた魔力の流れが、断たれたからだろう。
「やったね、チサちゃん!」
「ハイタッチ!」
ボクとチサちゃんが、ハイタッチをする。
壊れたゴーレムから、オンコが這い上がった。
「オンコ、ケガはない?」
「大丈夫大丈夫。くそー。勝てると思ったのになー」
ゴーレムの残骸をコンと叩き、オンコが悔しがる。
「仕方ない、妹よ。我々の敗北だ」
「さすが、魔王が認めただけのことはありますよ。オンコ」
オンコのお兄さん二人は、ボクたちを認めてくれた。
「ではオンコ、約束の品を」
「うん!」
オンコが、腰のポケットからカギを出す。昔ながらの、古めかしいカギだ。持ち手に、豪華な装飾がされてある。
「これが次のフロアのカギだ。受け取るがいい」
「戦果を期待しますよ」
装飾から、怪しげで不思議な魔力を感じた。
差し込み棒ではなく、この装飾からの魔力が重要なのだろう。
「楽しかったよダイキ! またやろうね!」
「ありがとう」
ボクは、オンコから鍵を受け取る。
次のフロアへ続く扉まで、オンコはボクたちを案内してくれた。
「次の魔物は強いよ。予想はできてると思うけど」
「気をつけるよ。じゃあね、オンコ」
鍵を差し込んで、ボクらは次のフロアへ。
次のフロアは、どこか落ち着いた雰囲気を持つ遺跡である。
そこには、ベルガがいた。神々しい衣装を、身にまとっている。まさに、人魚姫だ。
「キミが、次の対戦相手?」
「いいえ。ワタシは、回復地点の担当です」
ベルガの隣にはテーブルがあり、豪華な料理が並んでいる。
「そろそろ、お腹が空いてくる時間だろうと思いまして、お食事をご用意しました」
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