キュラちゃんの今後
『では、キュラの処遇が決まった。心して聞くがよい』
部屋の壁がゆがみ、人間サイズの亜神とロイリさんが現れた。
「どうもぉ。このお城も久しぶりねぇ」
ロイリさんは、どこでもリラックスモードだ。
「ようこそ、亜神【ラヴクラホテップ】。大魔王ロイリ・ス・ギル。大したおもてなしはできないが」
ひざまづこうとしたネウロータくんを、ロイリさんは立たせた。
「いいのですよぉ。どうぞ遊んでてくださいねぇ。そうですよね、【ラブホ】?」
『いかにも。今回の訪問は、決して処罰の意味合いもなし。抜き打ちの実態調査でもなし。安心なさい』
亜神って、【ラヴクラホテップ】、通称【ラブホ】って呼び名があったんだね。
すごくいかがわしい。
ただでさえ触手魔神という独特のエロスを醸し出しているのに、呼び名のせいで卑猥さが増している。
それより、気になるのは亜神の後ろだ。
さっきから、小さな影がピョコンとこちらを覗いては引っ込んでいる。
『ささ、出てきなさい。怖くないから』
亜神がその場を離れ、キュラちゃんが姿を見せた。
やはり、あの影はキュラちゃんだったらしい。
「その格好は?」
キュラちゃんの出で立ちが、ミニスカメイド服に変わっている。普段からゴスロリでも露出の際どいファッションなので、メイド服になると余計にセクシーだ。
「彼女はもう、魔王候補には戻れません。かといって放置するとLOに逆戻り。一度、うちで修行をさせ直します」
ロイリさんの身の回りの世話をして、反省させるとか。
「よかったなキュラ」
「お兄ちゃん。ごめんなさいだもん。みんなにも、ワタシは悪い子でしたもん」
ちゃんと、キュラちゃんはみんなに謝った。
「でもキュラ、あなたを許したのは、他ならぬあの【ビントバー・ビヨンド・ザ・リヴァイアサン】なのですよぉ」
「ビントバーのヌシ様が、ですか?」
そういえば、キュラちゃんはヌシ様の本体を奪ったんだっけ。
一番怒っているはずなのに。
「よく、許して下さいましたね」
「構わないのです」
ビントバーのヌシ様が、ベルガと一緒にこの場へ現れる。
「突然の訪問、失礼致します」
「構わない。我が妹の無礼、妹に代わって詫びる」
「いえいえ、あなた方は、一人の女性を私の力で治癒したと聞きました。それを聞いて、力を取り戻すことだけ考えていた自身を恥じました」
ヌシ様が、ネウロータくんと握手をかわす。
「あなた方のおかげで、本当に大切なことに気づかされました。よって、どうか温情を、と亜神様に告げたのです」
「ありがとう、ビントバーのヌシよ」
頭を下げたネウロータくんは、キュラちゃんと向き合った。
「ごめんなさいだもん、お兄ちゃん」
「いいんだキュラ。お前が反省しているのはみんな知っている」
キュラちゃんとネウロータくんが、抱き合う。
『では、三層合格者、マミ、ネウロータ、そしてチサ、三層で会おう。おおきにな』
「ご活躍を期待しておりますわぁ」
キュラちゃんにも、お別れの時が来た。
「さよならだもん、お兄ちゃん。キュラは、おつとめを果たすもん」
まるで牢屋に入れられるかのような言葉だけど、まあいいか。
こうして、キュラちゃんの騒動は終結した。
修行は厳しいだろう。
ともあれ、死なないでよかった。
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