さらば妹よ
で、キュラちゃんの処遇である。
どうなるんだろうと思っていたら、やはりロイリさんと亜神が来た。
「まさか、本当に自分たちで解決するなんて。やはり、ダイキさんはすごいですねぇ」
「そうよ、ダイキはすごいのよ!」
感心しているロイリさんに、なぜかマミちゃんが得意げに語る。
「いや、ボクなんて」
「何を言っているの? あんたは特別ヤバいのよ! レベルMAXの玉座なんて、あんたくらいなんだから!」
「そうなの?」
「他の玉座なんて、そこまで強いヤツなんていないんだから!」
マミちゃんは言うけど。
「ケイスさんの方が、強そうに思いますよ?」
「とんでもない。私の方が、むしろ毎回ダイキさんに驚かされています。あのセイレーンを降参させるのを目撃して、マミ様共々、私も更に特訓したほどでして」
あの戦闘に、それほどの価値があったなんて。
『ダイキには恐れ入った。もはや人間の領域を超えている』
亜神は、まずボクを称えてくれた。
『とはいえ、いくらダイキの活躍があったとしても、スキュラの処遇は覆らない』
ネウロータくんが、亜神の前に立つ。
「ぼくが魔王を辞退する!」
あれだけ魔王の地位に固執していたネウロータくんが、魔王を辞めると言い出した。
『それは、妹の不祥事は兄の監督不行き届きだと?』
亜神が問いかけると、ネウロターくんはうなずく。
「身内の不始末は、身内が受けるべきだ。妹の罪はぼくが被る」
「ならばセイも同罪ですね」
「そ、それは……」
有無を言わさぬロイリさんの言葉に、ネウロータくんが言葉を詰まらせた。
「お願いします。キュラちゃんに寛大な処置を」
「トシコ!」
キュラちゃんが、トシコさんの言葉に驚く。
「何を不思議がるの? 姉が妹を気遣って、変かしら?」
困惑するキュラちゃんに対し、トシコさんは冷静だ。まるで、本物のお姉さんみたいな振る舞いである。
「でも、私はあなたを一度拒絶したもん」
「それでも寄り添うのが、家族よ」
トシコさんの意志は、揺るぎない。
家族ってすごいな。ボクは、改めて思った。
「わたしからもお願い。キュラは勇者にそそのかされたのかもしれない」
「今回のイレギュアー案件に関しては、現在調査中です。結果が判明次第、追って連絡しますので。それまで口を慎みなさい」
ロイリさんが、チサちゃんに釘を刺す。
『誤解しないでほしい。スキュラを始末するということはない』
亜神の触手が、キュラちゃんを包み込む。絞め殺すワケではない。父のように優しく。
「事情聴取も兼ねて、スキュラは我ら大魔王の元で監査対象にします」
ロイリさんの指示で、亜神が触手の拘束を解いた。
「ひどいこと、しないとは思いますが」
『任しといてくれ。悪いようにはせんて。ほなな』
触手をヒラヒラさせながら、亜神が消えていく。
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