第七章 ついに勇者登場! ダイキ、フルパワー!

白鯨イドの子孫たち

「この度は、我が妹キュラ・ショガクと弟ネウロータ・ショガクのために心血を注いでくださって、ありがとうございます」


 セイさんにとって、ネウロータくんが弟で、キュラちゃんが妹だって?


「そうか。セイは『セイレーン』。海の魔物。スキュラも海の魔物」


 海のモンスター同士だから、血が繋がっていたのか。


「じゃあ、ネウロータくんは?」


「トリトン族です。みんな、白鯨イドの子孫です。ちなみにドレンはヒドラ族で同じ海洋生物ですが、両親が違います。血が濃すぎると、魔王と玉座の間にはなれませんので」


 ドレンって、海に住むドラゴンだったんだね。


「セイさん、前にネウロータくんを呼び捨てにしかけていましたよね?」


「よく覚えていらっしゃいましたね、ダイキ様。ウカツでした。弟とはいえ、魔王を呼び捨てなど」

 セイさんが、深く頭を下げる。


「お姉ちゃんまで邪魔するのかもん! だったら、家族でも容赦しないもん!」

 キュラちゃんは、セイさん相手でも怯まない。


「そうですか、では、あなたのせいで、兄であるネウロータが落第してもよくて?」


「くう!?」


 もし、キュラちゃんが他の魔王候補を襲って海のカードを奪っていたなら、ネウロータくんが大魔王に責められる。

 たとえそれが、ネウロータくんのためだとしても。


 そうなれば、魔王の資格剥奪は目に見えていた。


「あなたは偉大なる大魔王、ロイリ・ス・ギルの意向に背きました。重大なルール違反です。あなたはLOとして生きることさえ許されません。よって、排除致します」

 セイさんの砲身が、キュラちゃんに向けられる。


「待ってください!」

 ボクは、キュラちゃんの前に出た。


「道を空けてください。キュラに制裁を与えられません」

「いいえ。どきません」


 ボクだけじゃない。

 チサちゃんも、ボクの玉座から降りず、セイさんの攻撃を食い止めようとしてくれている。


「この子は、必死だったんだと思います。お兄さんがボクに負けて、海のカードを取り返そうとした。許される行為ではないと、確かに思います」


「だったら」


「でも、まだ分別もつかない子どもじゃないですか!」

 ボクが反論すると、セイさんは首を振る。


「何をおっしゃいます。彼女たちはあなたより数倍も歳を重ねています。物事の善悪くらい、心得ておくべき」


 そうだった。見た目で判断してはいけない。

 キュラちゃんは小さいと言えど、一〇〇〇歳は超えているんだった。


「お分かりになりましたら、そこをどいてください」



「どきません。ボクは、キュラちゃんは話せば分かってくれるはずだと思っています」



 ボクは、ネウロータくんの元へ。

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