第80話 玉座の重大な役割

「ダイキのせいじゃないわ。ダイキは琥珀花を蘇生させるくらいの力が備わっているのよ。元の琥珀花以上の、ね。むしろ、ダイキはちゃん責務を全うしたのよ」


 どうやら、ボクじゃないと成し遂げられない仕事だったらしい。


「元気出しなさい、ダイキ。あなたは誰にもできないことをしたのよ」

「そっか。ボクは自信を持っていいんだね?」


 マミちゃんはサムズアップで答える。


「これなら蜜の量は一滴だけでいいわ! 甘さはオレンジからも出るんだし」

「やってみる」


 蜜を一滴ポーションに混ぜ、オレンジジュースを混ぜ合わせた。


「まだ濃いわ! ポーションにはなったから、もう一息ね!」

「うーん」


 せっかくトナカイさんから、大事な蜜をもらったのに。「良すぎてダメ」だなんて。


「ところでさ、マミちゃん、皮は?」


 ボクは、かき氷に混ざっている梨に、疑問を抱く。


「捨ててるわ! それか、家畜の餌にしてるけど?」

「もったいないよ、マミちゃん! 食べられるから!」

「皮って、食べられるの?」

「食べるよ! 皮が食べられないなんて、迷信だから!」


 実は、梨の皮は栄養価が豊富だ。


「そうですね。我が梨農園では、農薬を使っていません。皮を食べても問題はないかと」


 虫除けは、魔法で行っているらしい。


「証拠に、お一つどうぞ」


 ケイスさんから、皮付きの梨をもらった。


 おいしい! 皮はクセがあるけど、甘さがかえって引き立つ。


 ん?


「待てよ、チサちゃん。これだ!」

 ボクはひらめいた。


「どうしたの、ダイキ?」


「梨の皮だよ! それをマミちゃんの所から分けてもらおう!」


 ポーションに、梨の皮を混ぜる。

 これで、エグさは改善されるはず。


「皮でいいの?」

「栄養的には十分だよ。ちゃんと甘いし」


 サッパリした梨の皮から甘みを摘出すれば、きっとおいしいはずだ。


 さっきのポージュースに、梨の皮を絞って入れる。

 よくかき混ぜて、と。


「いかがでしょう?」


 マミちゃんに、確かめてもらう。


 これが、最後の味見でありますように。



「うん、いいんじゃない?」



 特に加工しなくても売れるのでは、とお墨付きまでもらった。



「がんばるのよ、チサ! パパの無理難題なんてぶっ飛ばしてやりなさい!」


「分かった。ありがとマミ」







「よかったわね、チサ。玉座も。これで二人の関係の進展するわね」






 ボクは、何を言われたかよく分からなかった。


「え、どういうことですか?」

 思わず敬語になり、マミちゃんに聞き返す。





「知らないの? 玉座に選ばれたってコトは、その魔王と結婚するって意味なのよ!」






「えーっ!」

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